結論:本記事では、融資先候補を1件調査する工程について、完全手作業なら50〜75分、不動産データを一元的に確認できる環境なら4〜5分というモデルケースで比較します。
この前提で月50件を調査すると、手作業では約41.7〜62.5時間、不動産データ活用では約3.3〜4.2時間となり、月間約37.5〜59.2時間の差が生じます。
本記事の数値は「モデル試算」です
記載している時間・削減率・人件費は、一般的な作業工程を比較するための仮定値であり、不動産チェッカーの導入効果を保証する実績値ではありません。実際の所要時間は、担当者の経験、現在利用しているオンラインサービス、対象物件の複雑さ、調査項目によって異なります。
融資先開拓の考え方や営業アプローチ全体は、融資先開拓とは?金融機関の新規営業を不動産データで効率化する実務ガイドで解説しています。本記事では、その中でも「候補を見つけるまでの調査時間」に絞ります。
この記事でわかること
- 融資先候補の調査工程にどの程度の時間がかかるか
- 窓口中心・オンライン登記併用・データ一元型の違い
- 月50件・5人チームでの工数差
- 人件費へ換算した場合のモデル試算
- 削減した時間を営業活動へ振り向ける考え方
- 不動産チェッカーを導入前にどう比較すべきか
融資先開拓の「見えないコスト」は候補調査にある
融資先開拓というと、訪問件数、面談数、提案数、成約額などが注目されます。しかし、その前段階には「誰に営業するか」を決めるための調査があります。
- 地図から候補となる不動産を探す
- 住所から地番を確認する
- 登記簿謄本・登記情報を確認する
- 抵当権者・根抵当権者、設定額、受付時期を確認する
- 候補情報をExcel等へ整理する
- 用途地域・建ぺい率・容積率等を確認する
- 路線価等、必要な追加情報を確認する
これらは必要な作業ですが、顧客と直接対話する時間ではありません。調査工程が長いほど、訪問・提案・顧客対応へ使える時間が少なくなります。
比較条件|3つの調査方法を分けて考える
「手作業」と一括りにすると比較が不公平になりやすいため、実務では次の3段階に分けて考えると分かりやすくなります。
| 方法 | 主な作業 | 残りやすい負担 |
|---|---|---|
| 完全手作業+窓口 | 地図・地番調査、法務局等で登記取得、手入力、別画面で都市計画確認 | 移動・待ち時間、転記、複数資料の照合 |
| 手作業+オンライン登記 | 地番調査後にオンラインで登記取得、Excel転記、別サービスで都市計画等を確認 | 地番特定、複数画面確認、転記・名寄せ |
| 不動産データ一元型 | 地図を起点に物件・登記・用途地域等を一連で確認 | 候補判断、追加調査、最終的な顧客確認 |
オンライン登記を利用している金融機関では法務局への移動は発生しません。一方、住所・地番・登記・物件条件を複数システムで調べ、最後にExcelへまとめる工程が残るケースがあります。
モデルケース|完全手作業では1件50〜75分
以下は、候補1件について一連の確認を行う場合のモデルケースです。
| ステップ | 作業内容 | モデル時間 |
|---|---|---|
| ① 候補地確認 | 住宅地図・Web地図で空き地、駐車場、アパート等を確認 | 5分 |
| ② 地番特定 | 住所から地番を確認し対象筆を特定 | 10〜15分 |
| ③ 登記確認 | 登記情報・登記事項証明書を取得し甲区・乙区を確認 | 15〜25分 |
| ④ 転記 | 所有者、抵当権者、設定額、受付年月日等をExcelへ入力 | 5〜10分 |
| ⑤ 都市計画確認 | 用途地域、建ぺい率、容積率等を別画面で確認 | 10分 |
| ⑥ 追加情報 | 必要に応じ路線価等を確認 | 5分 |
| 合計 | 50〜75分/件 |
完全手作業で窓口移動を伴う場合は、ここに移動・待機時間が加わります。逆に、オンラインサービスや既存の社内データを活用している場合は、これより短いこともあります。
モデルケース|不動産データ一元型では4〜5分
地図上で物件情報、登記情報、用途地域などを連続して確認できる環境を想定すると、モデル上は次のように工程を圧縮できます。
| ステップ | 作業内容 | モデル時間 |
|---|---|---|
| ① 候補確認 | 地図上で候補となる物件を確認 | 1分 |
| ② 地番・登記確認 | 地図を起点に所有者・抵当権者・設定情報等を確認 | 2分 |
| ③ リスト化 | 画面上で確認、必要に応じてExcel出力 | 0〜1分 |
| ④ 不動産条件確認 | 用途地域、面積、建ぺい率・容積率等を確認 | 1分 |
| 合計 | 約4〜5分/件 |
ここで重要なのは「必ず5分で終わる」という意味ではなく、情報を探す画面・転記工程・移動を減らすほど、調査時間を圧縮できる余地が大きくなるという点です。
1件あたりの比較|モデル上は約90%前後の工数差
| 項目 | 完全手作業 | 不動産データ一元型 | モデル差 |
|---|---|---|---|
| 1件あたり | 50〜75分 | 4〜5分 | 約90〜95%短縮 |
| 移動・窓口待ち | 発生する場合あり | 原則不要 | 工程自体を削減 |
| Excel転記 | 手入力が残りやすい | 出力・画面確認で減らせる場合あり | 転記ミスも抑えやすい |
| 物件・登記・都市計画 | 複数資料・画面 | 一連の流れで確認 | 画面移動を削減 |
削減率だけで導入判断をしない
本当に見るべきなのは、自社で現在どの工程に何分かかっているかです。オンライン登記を既に使っている組織では削減幅が小さくなることもあります。逆に、地番確認・転記・複数資料照合に時間を使っている場合は改善余地が大きくなります。
月50件なら月37.5〜59.2時間の差
1人の担当者が月50件の候補調査を行うケースへ当てはめます。
| 項目 | 完全手作業 | 不動産データ一元型 |
|---|---|---|
| 1件 | 50〜75分 | 4〜5分 |
| 月50件 | 約41.7〜62.5時間 | 約3.3〜4.2時間 |
| 月間差 | 約37.5〜59.2時間 | |
月間労働時間を160時間と仮定すると、完全手作業の41.7〜62.5時間は約26〜39%に相当します。候補調査の工程を短縮できれば、その分を訪問・提案・顧客対応へ回しやすくなります。
5人チームでは年間2,250〜3,550時間のモデル差
同じ条件の担当者が5人いる場合を試算すると次のとおりです。
| 項目 | 完全手作業 | 不動産データ一元型 |
|---|---|---|
| 月間・5人 | 約208〜313時間 | 約17〜21時間 |
| 年間・5人 | 約2,500〜3,750時間 | 約200〜250時間 |
| 年間差 | 約2,250〜3,550時間 | |
この差は「人員を減らせる」という意味ではありません。重要なのは、同じ人員で顧客との接触・提案・案件フォローへ振り向けられる時間が増える可能性です。
人件費へ換算した場合のモデル試算
さらに、会社負担ベースの人件費を1時間3,000円と仮定します。これは効果比較のための仮定値であり、金融機関の実際の人件費を示す統計値ではありません。
| 1人・月50件 | 完全手作業 | 不動産データ一元型 | 差 |
|---|---|---|---|
| 月間工数 | 41.7〜62.5時間 | 3.3〜4.2時間 | 37.5〜59.2時間 |
| 月間人件費換算 | 約12.5万〜18.8万円 | 約1.0万〜1.3万円 | 約11.3万〜17.8万円 |
| 年間差 | 約135万〜213万円/人 | ||
自社の実際の人件費単価と調査件数へ置き換えると、導入検討時の比較材料として使いやすくなります。
自社の営業フローで工数を比較しませんか?
現在の月間調査件数・担当人数・調査工程を基準に、どの工程をまとめられるか確認できます。不動産チェッカーのデモでは、自社の営業エリアを見ながら活用方法をご案内できます。
削減した時間で何を変えるか
調査時間を減らすこと自体がゴールではありません。重要なのは、空いた時間を営業成果につながる工程へ振り向けることです。
訪問・面談の機会を増やしやすくなる
候補抽出に使っていた時間を顧客接点へ回せば、同じ勤務時間の中で訪問・電話・面談へ使える時間を確保しやすくなります。
提案準備へ時間を使える
「誰に行くか」を決める作業を早く終えれば、「何を提案するか」の準備へ時間を使えます。不動産担保融資、借換え、設備資金、土地活用など、相手に合わせた提案設計がしやすくなります。
同じ時間で確認できる候補数を増やしやすい
候補1件あたりの調査時間が短くなれば、同じ時間で比較できる候補数を増やしやすくなります。ただし、候補数だけを増やすのではなく、優先順位を付ける条件設計が必要です。
候補選定の属人化を抑えやすい
「この担当者だけが知っている地主・法人」を追うのではなく、物件条件・登記条件を共有することで、担当者間で同じ基準を使った候補選定を行いやすくなります。
不動産チェッカーで確認できること
不動産チェッカーは、地図を起点に不動産情報・登記情報等を確認し、営業候補の調査・整理に活用できるサービスです。
- 営業エリア内の土地・建物を地図上で確認
- 所有者・抵当権・根抵当権等を調査
- 用途地域、面積、家屋数などを候補選定に利用
- 候補情報をExcel等へ出力・共有
- 融資ランキング等からエリア内の融資傾向を確認
すでに登記簿PDFを多数保有している場合は、無料PDF変換サービスでExcel化し、営業リストへ整理する方法もあります。
導入効果は自社データで測る
この記事の試算をそのままROIとして採用するのではなく、まず現在の業務時間を測ることをおすすめします。
- 候補10件程度を従来手順で調査し、工程別に時間を記録する
- 同等条件の候補を不動産データ活用で調査する
- 平均よりも中央値も確認する
- 単純な作業時間だけでなく、転記ミス・再確認・待ち時間も記録する
- 削減した時間を実際に訪問・提案へ振り向けられたか確認する
この実測ができれば、「何%削減できるか」ではなく、自社では月に何時間生み出せるのかという導入判断ができます。
よくある質問
Q. 融資先候補の調査にはどのくらい時間がかかりますか?
本記事では工程比較のモデルケースとして、完全手作業では1件50〜75分、不動産データ一元型では4〜5分と仮定しています。実際の時間は担当者の経験、オンラインサービスの利用状況、対象物件の複雑さ等で異なります。
Q. 不動産チェッカーを使えば必ず4〜5分で調査できますか?
いいえ。4〜5分は本記事のモデル試算上の仮定値であり、効果を保証する数値ではありません。実際の削減効果は自社の業務フローや調査項目を基準に確認する必要があります。
Q. オンラインで登記を取得している場合でも効率化できますか?
移動や窓口待ちは減りますが、住所から地番の特定、複数画面での確認、Excel転記、用途地域等の別調査が残る場合があります。地図・登記・物件情報を一連の流れで確認できると、これらの工程をまとめやすくなります。
Q. 調査時間を削減すると具体的に何が改善しますか?
同じ時間で確認できる候補数を増やしやすくなり、訪問・提案・顧客対応に充てられる時間を確保できます。また、条件を共有すれば担当者間で同じ基準の候補選定を行いやすくなります。
Q. 人件費換算はどのように計算していますか?
本記事では会社負担ベースの時給を3,000円と仮定したモデル試算です。実際の人件費単価に置き換えて計算してください。
Q. 融資先開拓の考え方全体を知りたい場合は?
融資先開拓とは?金融機関の新規営業を不動産データで効率化する実務ガイドで、既存先深掘り、紹介、訪問、不動産データ活用などの営業アプローチを解説しています。
まとめ
融資先開拓では、訪問前の候補調査にかかる時間が見えにくいコストになります。
本記事のモデルケースでは、完全手作業50〜75分に対して不動産データ一元型を4〜5分と仮定すると、月50件で約37.5〜59.2時間、5人チームでは年間約2,250〜3,550時間の差になります。
ただし、この数字は導入効果を保証するものではありません。最も重要なのは、自社の現在の作業時間を計測し、実際にどの工程を削減できるかを確認することです。
調査時間を短縮できれば、訪問・提案・案件フォローへ充てられる時間を増やしやすくなります。不動産チェッカーを検討する際も、機能数だけではなく、自社の候補調査工程を何分短くできるかという観点で比較すると導入効果を判断しやすくなります。
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