路線価とは、国税庁が毎年7月1日に公表する、 道路に面する土地1㎡あたりの評価額です。
その年の1月1日時点の価格として設定され、 主に相続税・贈与税の土地評価に使われます。
公示地価の約80%を目安に設定されるため、実際の取引価格とは異なります。 不動産営業や金融機関の実務では、地主の資産規模、相続対策、 担保評価 の参考値として活用されます。
この記事でわかること
- 路線価の目的と公表時期
- 路線価図の数字・アルファベットの読み方
- 公示地価・固定資産税評価額との違い
- 路線価から相続税評価額を概算する方法
- 地主営業・金融営業での活用方法
この記事の読み方
| 知りたいこと | 読むべき箇所 |
|---|---|
| 路線価の基本を知りたい | 第1章「路線価は何のためにあるのか」 |
| 路線価図の読み方を知りたい | 第2章「路線価図の見方」 |
| 他の公的価格と比較したい | 第3章「公示地価等との関係」 |
| 評価額を計算したい | 第4章「相続税評価額の概算」 |
| 営業で活用したい | 第6章「不動産営業で重要な理由」 |
路線価は何のためにあるのか
土地は、同じ面積でも立地や周辺環境によって価値が異なります。 駅前の商業地と郊外の住宅地を、同じ単価で評価することはできません。
そこで国税庁は、道路ごとに1㎡あたりの価格を設定し、 その道路に接する土地の相続税・贈与税評価の基準としています。 これが路線価です。
路線価は毎年7月1日に公表され、評価時点はその年の1月1日です。
令和7年分の全国約32万地点の標準宅地では、 平均路線価が前年比2.7%上昇し、4年連続の上昇となりました。
令和7年分の最高路線価は、東京・銀座5丁目の銀座中央通りで、 1㎡あたり4,808万円でした。
路線価図の見方
路線価図では、道路上に「320D」のような数字とアルファベットが表示されています。
数字部分は土地1㎡あたりの評価単価
数字は千円単位です。
- 320: 1㎡あたり320,000円
- 1000: 1㎡あたり1,000,000円
アルファベット部分は借地権割合
| 記号 | 借地権割合 |
|---|---|
| A | 90% |
| B | 80% |
| C | 70% |
| D | 60% |
| E | 50% |
| F | 40% |
| G | 30% |
「320D」は、1㎡あたり32万円、借地権割合60%を意味します。
借地権・底地の概算
借地権評価額 = 路線価 × 面積 × 借地権割合
底地評価額 = 路線価 × 面積 ×(1 − 借地権割合)
所有権の土地を調べる不動産営業では、まず数字部分を確認します。
路線価と公示地価・固定資産税評価額の関係
| 価格の種類 | 設定主体 | 公示地価との目安 | 評価時点 | 公表・更新 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|---|
| 公示地価 | 国土交通省 | 基準(100%) | 毎年1月1日 | 毎年3月 | 土地取引の指標 |
| 路線価 | 国税庁 | 約80% | 毎年1月1日 | 毎年7月 | 相続税・贈与税 |
| 固定資産税評価額 | 市区町村 | 約70% | 基準年度の1月1日 | 原則3年ごと | 固定資産税 |
路線価は実勢価格の80%ではない
路線価は、公示地価の約80%を目安にした税務上の評価基準です。 実勢価格は地域の需給や個別条件によって、公示地価を上回る場合も下回る場合もあります。
実勢価格を概算する場合は、 「路線価 ÷ 0.8」で公示地価水準を出し、 そこへ地域の需給や土地条件を加味して考えます。
路線価だけで売却価格を判断することはできません。
路線価から相続税評価額を概算する方法
基本式
路線価 × 土地面積 = 概算評価額
路線価300千円、面積500㎡の土地なら、次のように計算します。
300,000円 × 500㎡ = 1億5,000万円
実際には土地条件による補正が必要
| 補正の種類 | 内容 | 評価への影響 |
|---|---|---|
| 奥行価格補正 | 奥行が短すぎる・長すぎる土地 | 減額方向 |
| 不整形地補正 | 三角形、旗竿地など | 減額方向 |
| 間口狭小補正 | 道路に接する間口が狭い土地 | 減額方向 |
| がけ地補正 | がけ地を含む土地 | 減額方向 |
| 二方路線影響加算 | 正面と裏面の道路に接する土地 | 増額方向 |
| 側方路線影響加算 | 角地など側方道路にも接する土地 | 増額方向 |
同じ路線価・面積でも、整形地と旗竿地では評価額が異なります。 税務上の正確な評価は、税理士などの専門家へ確認してください。
路線価がない地域は倍率方式で評価する
郊外や農村部など、路線価が設定されていない地域では倍率方式を使います。
倍率方式の基本式
固定資産税評価額 × 国税庁が定めた倍率 = 評価額
倍率は、国税庁Webサイトの「評価倍率表」で確認できます。
不動産営業で路線価が重要な理由
地主営業での活用
地主営業 では、 面積だけでなく資産規模の把握が重要です。
路線価と面積から概算評価額を出すことで、 地主の保有資産規模や相続税負担の可能性を検討できます。
相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。 路線価ベースの概算で基礎控除を超える可能性があれば、 相続対策の相談ニーズを想定できます。
営業エリア選定での活用
- 路線価が高い地域: 相続税対策、資産管理、土地活用のニーズを想定しやすい
- 路線価が比較的低い地域: 売却、遊休地活用、管理負担軽減のニーズを想定しやすい
金融機関の担保評価での活用
金融機関は担保評価の参考資料として路線価を利用する場合があります。
「路線価÷0.8」で公示地価水準へ戻し、掛け目を適用する考え方がありますが、 土地形状、接道、用途地域、現況なども含めて総合的に評価します。
路線価だけでは分からないこと
- 実際の取引価格
- 土地固有の形状・接道・高低差
- 建物の価値
- その年の1月1日以降の市場変動
路線価は道路ごとに設定された標準的な単価です。 個別の土地条件や現在の市場価格を直接示すものではありません。
実務では、 公図 、 地積測量図 、 現地確認、周辺取引事例などと組み合わせて判断します。
不動産チェッカー では、地図上から用途地域、面積、登記情報、担保設定などを確認し、 営業候補や融資候補の検討に活用できます。
登記簿PDFを大量に扱う場合は、 大量のPDFをExcel化する方法 も参考にしてください。
よくある質問
Q. 路線価は誰でも確認できますか?
国税庁Webサイトの「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で無料閲覧できます。
Q. 路線価と売買価格は同じですか?
異なります。路線価は税務上の評価基準であり、 実勢価格は地域の需給と個別条件によって変わります。
Q. 路線価から実勢価格を推計できますか?
「路線価÷0.8」で公示地価水準を概算できますが、 正確な価格査定には現地調査や取引事例の確認が必要です。
Q. 路線価と固定資産税評価額の違いは?
路線価は相続税・贈与税、固定資産税評価額は固定資産税の算定に使われます。
Q. 路線価がない地域はどう評価しますか?
固定資産税評価額へ国税庁の倍率を掛ける倍率方式で評価します。
Q. 路線価図のA〜Gは何を意味しますか?
借地権割合です。Aは90%、Bは80%、Cは70%、Dは60%、 Eは50%、Fは40%、Gは30%を示します。
まとめ
- 路線価は、道路に面する土地1㎡あたりの相続税・贈与税評価額
- 毎年7月1日に公表され、評価時点はその年の1月1日
- 数字は千円単位、アルファベットは借地権割合
- 公示地価の約80%を目安に設定される
- 実勢価格とは異なり、土地条件による補正も必要
- 路線価がない地域では倍率方式を使う
- 地主の資産規模、相続対策、担保評価の参考値として活用できる
- 公図・地積測量図・現地確認・取引事例との併用が重要
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参考・出典
- 国税庁「令和7年分の路線価等について」
- 国税庁「財産評価基本通達」
- 国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」
- 国土交通省「令和7年地価公示」
ご注意ください
本記事は一般的な情報提供を目的としています。 税務上の土地評価や相続税計算については、税理士などの専門家へご相談ください。 記事内の路線価・公示地価の数値は令和7年分の公表値に基づいています。
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