金融・融資 不動産担保
公開日:2026/08/19 更新日:2026/08/19

不動産担保融資とは?仕組み・審査基準・費用から金融機関の見方まで解説

不動産担保融資の基本を、リコース型・ノンリコース型、抵当権・根抵当権、担保評価・返済能力などの審査基準、抵当権設定費用、登記情報を使った営業活用まで実務目線で整理します。

不動産担保融資について土地・建物・登記情報と融資資料を確認するイメージ
不動産担保融資は、不動産価値だけでなく返済能力・既存借入・担保順位などを総合して判断されます

結論:不動産担保融資とは、土地や建物に抵当権・根抵当権を設定し、その不動産価値を担保として資金を借り入れる融資です。

一般的な不動産担保融資は、返済不能時に担保処分後も債務が残れば借り手の他の財産にも請求が及び得るリコース型です。担保があるから無条件に借りられるわけではなく、金融機関は担保評価・担保余力・返済能力・既存借入・取引状況などを総合的に審査します。

また、抵当権設定登記には登録免許税がかかり、本則は債権額等の0.4%です。一定の自己居住用住宅の取得資金に係る抵当権設定では、要件を満たせば0.1%の軽減措置があります。

この記事でわかること

  • 不動産担保融資の基本的な仕組み
  • リコース型とノンリコース型の違い
  • 抵当権・根抵当権がどのように使われるか
  • 金融機関が審査で見る主なポイント
  • 抵当権設定にかかる登録免許税等の費用
  • 登記情報から営業仮説を立てる方法
  • 登記情報だけでは分からないこと

融資商品の種類を比較したい方へ

アパートローン・プロパーローン・不動産担保ローン・ノンリコースローン等の違いは、不動産担保融資の種類と選び方で詳しく比較しています。

不動産担保融資とは

不動産担保融資とは、土地・建物などの不動産を担保として提供し、その担保価値と借り手の返済能力などをもとに資金を借り入れる融資の総称です。

住宅ローンも広い意味では不動産担保融資の一種ですが、実務上「不動産担保融資」という場合は、事業資金・設備投資・運転資金・資産活用など、住宅ローンより資金使途が広い融資を指すことがあります。

無担保融資と比べると、不動産を担保にすることで比較的大きな金額や長期の融資を検討しやすくなる場合があります。ただし、実際の条件は金融機関・商品・借り手・担保不動産によって異なります。

リコース型とノンリコース型

一般的な不動産担保融資はリコース型です。担保不動産を処分しても債務を完済できなければ、残った債務について借り手の他の財産にも請求が及び得ます。

これに対してノンリコース型は、原則として特定の不動産・事業から生じるキャッシュフローや担保資産に責任財産を限定する融資です。大型収益不動産の取得や証券化、SPCを用いた取引などで利用されます。

項目リコース型ノンリコース型
返済原資借り手の事業・収入・資産等対象物件・事業のキャッシュフロー等
責任財産担保処分後の残債について他財産にも請求が及び得る原則として契約で定めた対象資産等に限定
主な利用者・場面個人、法人、地主、事業者等SPC、大型収益不動産、証券化等
主な審査軸担保評価+返済能力+既存借入等物件CF、LTV、DSCR、出口戦略等
一般的なリコース型不動産担保融資とノンリコース型の違いを比較するイメージ
一般的な不動産担保融資とノンリコース型では、返済原資と審査の考え方が異なります

不動産担保融資の仕組み——抵当権・根抵当権の設定

不動産担保融資では、金融機関が担保となる不動産に抵当権または根抵当権を設定します。

種類主な特徴
抵当権特定の債権を担保する。被担保債権が完済されれば実体法上は消滅するが、登記は自動では消えず抹消登記が必要
根抵当権極度額の範囲で一定の取引から生じる不特定の債権を継続的に担保する。個々の借入を完済しても根抵当権自体は当然には消滅しない

返済が滞った場合、金融機関は担保権を実行し、競売等によって担保不動産を換価して債権回収を図ることがあります。リコース型で担保処分後も債務が残る場合は、残債について別途返済義務が残り得ます。

抵当権と根抵当権の実務上の違いは、抵当権と根抵当権の違いとは?で詳しく解説しています。

土地建物に抵当権や根抵当権を設定して金融機関が融資する仕組みのイメージ
不動産担保融資では、対象不動産に抵当権・根抵当権を設定して回収可能性を確保します

なぜ不動産担保融資が利用されるのか

  • 事業資金・運転資金の調達
  • 設備投資
  • アパート・賃貸住宅の取得や建築
  • 建替え・大規模修繕
  • 相続税の納税資金等
  • 既存融資の借換え
  • 資産の組み替え・不動産取得

地主や法人オーナーは多額の不動産資産を保有していても、投資・納税・事業運営に必要な現預金が十分とは限りません。そのため、保有不動産を活用した資金調達が選択肢になります。

金融機関は何を見ているのか

金融機関は「不動産があるから貸す」のではなく、複数の観点から総合的に判断します。

1.担保評価

担保不動産の価値・市場性・換価性を評価します。土地では立地、用途地域、接道、形状、面積、周辺取引等、収益不動産では賃料・稼働率・収益性等も確認します。

評価手法や内部の掛け目・保守性は金融機関や不動産の種類によって異なります。詳しくは担保評価とは?不動産担保評価の実務で解説しています。

2.担保余力

担保評価額だけではなく、先順位の抵当権・根抵当権、既存債務の残高、担保順位、共同担保の状況などを確認し、追加融資に使える余力があるかを判断します。

登記上の債権額・極度額=現在残高ではありません

登記簿に記載された抵当権の債権額や根抵当権の極度額だけから、現在の借入残高を確定することはできません。営業段階では「担保余力がありそう」という仮説までに留めます。

3.返済能力

法人であれば売上・利益・キャッシュフロー・既存借入、個人であれば所得・資産・返済比率等を確認します。担保価値が高くても、返済能力や資金使途に問題があれば希望額どおりの融資にならない場合があります。

4.既存借入・取引状況

他行を含む既存借入、返済履歴、メイン取引、預金・決済等の取引状況も総合判断の材料になります。

不動産担保融資のメリット

メリットポイント
比較的大きな金額を検討しやすい担保が回収手段の一つになるため、無担保融資より融資額を大きく設定できる場合がある
金利条件が改善する場合がある担保や信用状況によっては無担保融資より条件が良くなる場合がある
資金使途の幅が広い商品がある事業資金、設備投資、借換え、資産活用など商品に応じた使途に利用できる
既存不動産を資金調達に活用できる保有資産を売却せずに資金を調達する選択肢になる
不動産を担保に事業資金・設備投資・借換えなど複数の資金用途を検討するイメージ
不動産担保融資は、事業・設備・借換え・資産活用など幅広い資金需要で検討されます

不動産担保融資の注意点

担保評価額と融資額は同じではない

金融機関は担保評価に加えて返済能力や資金使途等を確認するため、担保評価額と同額を借りられるとは限りません。

抵当権設定費用が発生する

抵当権設定登記の登録免許税は、原則として債権額または極度額の0.4%です。

一定の要件を満たす自己居住用住宅の取得資金に係る抵当権設定登記については、税率が0.1%に軽減される特例があります。適用期限や住宅用家屋証明書等の要件は、登記時点の最新制度を確認してください。

計算例|債権額5,000万円の抵当権設定

  • 本則0.4%:5,000万円 × 0.4% = 20万円
  • 住宅特例0.1%が適用される場合:5,000万円 × 0.1% = 5万円

このほか、司法書士報酬、証明書取得費、場合によっては不動産鑑定・調査費等が発生します。金額は依頼内容、物件数、共同担保の有無、金融機関の商品設計等によって異なります。

返済不能時には担保処分の可能性がある

返済が滞れば、担保不動産が競売等の対象となる可能性があります。事業継続に不可欠な本社・工場・賃貸物件等を担保にする場合は、そのリスクを十分に理解する必要があります。

地主営業・法人営業で重要な理由

不動産担保融資は、金融機関だけでなく、不動産会社・建設会社・ハウスメーカー等の営業にも関係します。

  • アパート建築と建築資金融資
  • 築古物件の建替え・大規模修繕
  • 相続税等の納税資金
  • 法人の設備投資・運転資金
  • 遊休不動産を活用した資金調達
  • 他行融資の借換え
  • 事業承継・資産組み替え

地主営業の基本は地主営業とは?、金融機関の新規開拓については融資先開拓とは?も参考にしてください。

登記情報から見える営業機会

登記簿の乙区を見ると、抵当権者・根抵当権者、債権額・極度額、設定時期などを確認できます。

登記情報考えられる営業仮説
他行の抵当権借換え・追加融資の検討
古い抵当権設定返済進捗や条件見直しの余地を確認
根抵当権継続的な事業融資取引がある可能性
複数物件の共同担保所有者の資産全体や取引規模を把握する手掛かり

ただし、登記だけで現在残高・実際の金利・借換え意思等を断定することはできません。

不動産チェッカーでは、地図上で物件を確認しながら、所有者・登記情報・抵当権・根抵当権・用途地域等を確認し、融資先開拓や地主営業の候補調査に活用できます。

エリア単位で登記上の担保権者を集計すれば、どの金融機関による担保設定が多いかという傾向を確認する材料にもなります。

地図と登記簿の抵当権情報から金融機関の融資営業候補を分析するイメージ
登記情報と不動産データを組み合わせると、借換え・融資先開拓の営業仮説を作りやすくなります

登記情報・担保評価だけではわからないこと

  • 現在の借入残高:登記上の債権額・極度額からは返済進捗を確定できない
  • 現在の適用金利:登記に利息の記載があっても、条件変更等により現在条件と一致しない場合がある
  • 資金ニーズ:担保余力があっても借入を希望しているとは限らない
  • 返済能力:事業の財務内容・個人の収入等は登記情報からは分からない
  • 既存債務の正確な残高・返済条件:本人資料や金融機関の取引情報が必要

登記情報は、顧客の事情を断定するためではなく、提案すべき理由を考えるための仮説材料として利用します。

よくある質問

Q. 住宅ローンも不動産担保融資ですか?

はい。広い意味では住宅ローンも不動産担保融資の一種です。ただし、一般に不動産担保融資という場合は、事業資金や資産活用など資金使途が比較的広い融資を指すことがあります。

Q. 土地だけでも融資を受けられますか?

可能な場合があります。ただし、土地の担保評価、利用状況、用途地域、接道条件、借り手の返済能力などによって融資条件は異なります。

Q. 不動産価値だけで融資額は決まりますか?

いいえ。担保評価に加えて、返済能力、資金使途、事業内容、既存借入、取引状況などを総合的に判断します。

Q. リコース型とノンリコース型の違いは何ですか?

リコース型は担保処分後に債務が残れば借り手の他の財産にも請求が及び得る融資です。ノンリコース型は原則として特定の物件・事業から生じるキャッシュフローや担保資産に責任財産を限定する融資です。

Q. 抵当権設定にはどのくらいの費用がかかりますか?

登録免許税は原則として債権額または極度額の0.4%です。一定の自己居住用住宅の取得資金に係る抵当権設定では、要件を満たせば0.1%の軽減措置があります。このほか司法書士報酬等が発生し、金額は依頼内容等で異なります。

Q. 登記情報から融資の営業機会は分かりますか?

抵当権者・根抵当権者、設定額・極度額、設定時期などから借換えや追加融資の仮説を立てることはできます。ただし、現在残高や資金ニーズまでは登記情報だけでは分かりません。

まとめ

  • 不動産担保融資は、不動産に抵当権・根抵当権を設定して行う融資
  • 一般的な融資はリコース型で、担保処分後の残債について他財産にも請求が及び得る
  • 金融機関は担保評価だけでなく返済能力・既存借入・取引状況等を総合判断する
  • 担保余力は登記上の設定額だけでは判断できず、現在残高・順位・共同担保等の確認が必要
  • 抵当権設定の登録免許税は本則0.4%
  • 一定の住宅取得資金に係る抵当権設定は要件を満たせば0.1%の軽減措置がある
  • 登記情報は借換え・追加融資・地主営業等の仮説材料として活用できる

不動産担保融資は単なる資金調達手段ではなく、借換え、土地活用、相続、事業承継、法人営業、融資先開拓など多くの場面に関係します。

営業では「担保があるから融資できる」と考えるのではなく、不動産の価値・権利関係・返済能力・顧客の資金需要を一体で見ることが重要です。

ご注意ください

本記事は2026年8月19日時点の一般的な情報提供を目的としています。融資条件・担保評価基準・必要書類・費用・税制特例は金融機関や案件によって異なり、制度改正の影響も受けます。具体的な融資・登記・税務判断は金融機関、司法書士、税理士等へご確認ください。

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