不動産営業 融資
公開日:2026/08/11 更新日:2026/08/12

不動産担保融資の種類と選び方——住宅ローン・アパートローン・プロパーローン・ノンリコースの違いを比較

不動産を担保にした融資には複数の種類があり、対象者・用途・審査基準・返済原資が異なります。住宅ローン、アパートローン、プロパーローン、不動産担保ローン、ノンリコースローン、プロジェクトファイナンスの違いを、不動産営業・金融機関営業の視点から整理します。

不動産を担保にした複数の融資商品を比較する金融実務のイメージ
不動産担保融資は、目的・借り手・返済原資によって適した種類が異なります

不動産を担保にした融資には、 住宅ローン・アパートローン・プロパーローン・不動産担保ローン・ ノンリコースローン・プロジェクトファイナンスなどがあります。

それぞれ対象者、資金使途、審査基準、金利、返済原資の考え方が異なるため、 「どの融資が使えるか」は目的と借り手の属性によって変わります。

不動産会社や金融機関の営業担当にとって、 顧客が利用できる融資の種類を理解しておくことは、 提案の現実性と信頼性を高める重要な知識です。

この記事でわかること

  • 不動産担保融資6種類の全体像
  • 住宅ローン・アパートローン・プロパーローンの違い
  • 不動産担保ローン・ノンリコースローンの特徴
  • 融資種類ごとの対象者・用途・審査基準
  • 登記簿の抵当権・根抵当権から立てられる営業仮説

なぜ融資の種類を理解する必要があるのか

不動産会社の営業担当にとって、融資は金融機関の仕事に見えるかもしれません。 しかし、融資が成立しなければ売買や土地活用も成立しないケースは多くあります。

例えば地主へアパート建築を提案した際、 「融資は通りますか」と聞かれることは珍しくありません。

その場でアパートローンとプロパーローンの違いや、 想定される金融機関の選択肢を説明できれば、提案の具体性が高まります。

金融機関側でも、自行の商品と競合行の商品特性を整理しておくことで、 借換えや新規融資の提案に活用できます。

不動産担保融資の全体像

種類 主な対象者 主な用途 返済原資の考え方
住宅ローン 個人 自宅購入・建築 給与収入
アパートローン 個人・法人 賃貸住宅の購入・建築 賃料収入+借り手の属性
プロパーローン 個人・法人 事業用不動産・運転資金 事業収支+信用力
不動産担保ローン 個人・法人 幅広い資金使途 担保価値+借り手の属性
ノンリコースローン SPC等 大型収益不動産取得 対象不動産のキャッシュフローのみ
プロジェクトファイナンス SPC・デベロッパー等 開発プロジェクト プロジェクト収益

住宅ローン

対象: 個人が自ら居住する住宅の購入・建築資金。

審査では、年収、勤続年数、雇用形態など、 借り手本人の返済能力が重視されます。

  • 金利の目安:変動年0.3〜0.7%程度、固定年1.0〜1.9%程度
  • 返済期間:最長35年が一般的
  • 保証会社の保証を付けるケースが一般的
  • 要件を満たせば住宅ローン控除の対象

投資・事業用途には使えない

住宅ローンは自己居住用が前提です。 取得後に賃貸へ転用する場合は、金融機関への確認が必要です。

不動産営業での意味

売買仲介では、住宅ローンの事前審査通過が契約成立の重要な前提になります。

アパートローン

対象: 賃貸住宅の購入・建築を行う個人・法人。

審査では物件の収益性に加えて、 借り手の年収、資産、賃貸経営経験なども確認されます。

  • 金利の目安:年1.5〜3.5%程度
  • 返済期間:建物の法定耐用年数等を踏まえて設定
  • 審査:賃料収入・空室率・利回り+借り手属性
  • 保証会社を利用する商品が多い
  • LTV:70〜80%程度が一つの目安

アパートローンとプロパーローンの違い

項目 アパートローン プロパーローン
商品設計 パッケージ型 案件ごとの個別設計
保証会社 あり 原則なし
審査期間 比較的短い 長くなりやすい
金利 やや高め 交渉により変動
柔軟性 低い 高い
向いているケース 初めての賃貸経営、個人投資家 法人、実績のあるオーナー、大型案件
アパートローンとプロパーローンの条件を比較する不動産融資相談のイメージ
アパートローンは定型商品、プロパーローンは案件ごとの個別設計という違いがあります

プロパーローン

対象: 法人や実績のある個人事業主。

プロパーローンは、保証会社を付けず、 金融機関が独自の審査基準で直接リスクを取る融資です。

  • 金利の目安:年1.0〜3.0%程度
  • 事業計画・収益性・財務・担保評価を総合判断
  • 保証会社なし
  • 融資額・期間・金利を案件ごとに設計

大型案件、商業ビル、事業用不動産、法人の事業資金などで利用されます。

不動産担保ローン

対象: 既に不動産を保有している個人・法人。

所有不動産を担保に、 事業資金、運転資金、納税資金、つなぎ資金などを調達する融資です。

  • 金利の目安:年2.0〜10%程度
  • 担保価値を重視する傾向
  • 銀行・ノンバンク双方が取り扱う
  • 資金使途が比較的広い

担保評価・担保余力 を把握しておくことで、資金調達可能性を検討しやすくなります。

ノンリコースローン

対象: SPC等による大型収益不動産の取得。

ノンリコースローンでは、 対象不動産のキャッシュフローと売却代金のみを返済原資とし、 原則としてスポンサーの他の財産へ遡求しません。

  • リコース融資より金利は高め
  • LTV:60〜70%程度が典型的
  • DSCR:1.3以上などの基準で収益余力を確認
  • SPC・TMK・GK-TK等のスキームで利用

REIT、PEファンド、不動産私募ファンドなど、 機関投資家や大型案件で用いられる融資です。

プロジェクトファイナンス

対象: 分譲マンション、商業施設、再開発などの開発プロジェクト。

特定プロジェクトから生み出される収益を返済原資とします。 ノンリコースローンに近い考え方ですが、 建設・販売・開発そのもののリスクが加わるため審査はより複雑です。

ノンリコースローンとプロジェクトファイナンスの資金構造を確認する金融実務のイメージ
大型案件では、対象不動産やプロジェクトの収益力そのものが返済原資として重視されます

6種類の比較一覧

項目 住宅ローン アパートローン プロパーローン 不動産担保ローン ノンリコース プロジェクトF
主な対象者 個人 個人・法人 法人・個人事業主 個人・法人 SPC等 SPC・デベロッパー
主な用途 自宅購入 賃貸住宅取得 事業用不動産等 幅広い資金使途 大型収益物件 開発案件
審査の軸 返済能力 収益性+属性 事業計画+財務+担保 担保価値+属性 CF・LTV・DSCR プロジェクト収益
金利傾向 低い 中程度 交渉次第 高め 高め 高め
保証会社 あり あり なし ケースによる なし なし
遡求 あり あり あり あり なし なし・限定的

融資の種類と登記情報の関係

登記簿謄本 の乙区では、 抵当権・根抵当権の設定状況を確認できます。

  • 抵当権: 住宅ローン・アパートローンで設定されることが多い
  • 根抵当権: プロパーローン・事業融資・不動産担保ローンで設定されることが多い
  • 抵当権者・設定時期: どの金融機関がいつ融資したかを確認できる

ただし、登記情報だけで融資の種類を断定することはできません。

抵当権と根抵当権の違い を踏まえながら、金融機関名・設定時期・設定額から営業仮説を立てます。

不動産チェッカー では、地図上から登記情報・融資情報を確認し、 営業候補や借換え候補の整理に活用できます。

登記簿の抵当権・根抵当権と金融機関情報から融資内容を分析するイメージ
抵当権・根抵当権、金融機関名、設定時期から融資背景の仮説を立てられます

よくある質問

Q. アパートローンとプロパーローンの違いは?

アパートローンは定型商品、プロパーローンは案件ごとの個別設計という違いがあります。

Q. ノンリコースローンとは?

対象不動産のキャッシュフローと売却代金のみを返済原資とし、 原則として借り手の他の財産へ遡求しない融資です。

Q. 不動産担保ローンはどんなときに使いますか?

所有不動産を担保に、事業資金、納税資金、つなぎ資金などを調達するときに利用されます。

Q. 登記簿で融資の種類は分かりますか?

断定はできませんが、抵当権・根抵当権、金融機関名、設定時期から仮説を立てられます。

Q. 融資金利はどの程度ですか?

商品・金融機関・物件・借り手属性によって異なります。 本記事の数値は一般的な目安です。

Q. どの融資を選べばよいですか?

自宅なら住宅ローン、賃貸住宅ならアパートローン・プロパーローン、 幅広い資金調達なら不動産担保ローンなど、目的と属性で候補が変わります。

まとめ

  • 不動産担保融資は6種類に大別できる
  • 住宅ローンは本人の返済能力を重視
  • アパートローンは収益性+借り手属性を重視
  • プロパーローンは金融機関が案件ごとに条件設計
  • 不動産担保ローンは幅広い資金使途に対応
  • ノンリコースは対象不動産のCFのみを返済原資とする
  • プロジェクトファイナンスは開発事業の収益性を重視
  • 登記情報は融資背景を推定する営業材料になる

参考・出典

  • 金融機関各社の住宅ローン・アパートローン・事業融資商品
  • 減価償却資産の耐用年数等に関する省令
  • 資産流動化法
  • 不動産証券化実務におけるTMK・GK-TK等の一般的なスキーム

ご注意ください

本記事は一般的な情報提供を目的としています。 融資条件・金利・審査基準は金融機関ごとに異なります。 実際の条件は各金融機関へご確認ください。

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