結論:2026年10月の登記規則改正により、従来のように受付帳から相続・売買などの登記目的と対象不動産を結びつけ、営業候補を一覧的に抽出することが難しくなります。
一方、登記事項証明書や登記情報そのものを確認する仕組みがなくなるわけではありません。
つまり課題は「不動産の登記情報が取れなくなる」ことではなく、「どの不動産を調査し、誰に営業するのかを自社で決める体制へ切り替えられるか」です。
本記事では、物件や所有者の条件を先に定義し、そこから営業候補を絞り込む手法を「条件設計型営業」と呼びます。
受付帳に頼らない営業リスト作成の具体的な手順、過去に取得した受付帳・謄本データの活かし方、業種別の営業アプローチ、そして2026年10月までに社内で整えておきたい実装ステップを解説します。
制度改正そのものを確認したい方へ
改正の制度的な内容(何が変わるのか・なぜ変わるのか)は、「受付帳廃止とは?2026年10月の登記規則改正で不動産会社の仕入れはどう変わるか」で詳しく解説しています。
この記事でわかること
- 受付帳型営業と条件設計型営業の違い
- 物件条件から営業候補を絞る具体的な手順
- 過去の受付帳・謄本データを再利用する方法
- 不動産会社・金融機関・建設会社・士業の業種別アプローチ
- 2026年10月までの実装ロードマップ
- 登記情報を営業に利用するときの注意点
- 不動産チェッカーを条件設計型営業へ活用する方法
- 13ページの受付帳改正対応PDFを無料ダウンロードする方法
受付帳型の営業と、これからの営業の違い
受付帳を使った営業は、「登記の動きを起点にする」モデルでした。
相続や売買などの登記を受付帳から把握し、対象となる不動産を確認したうえで所有者へDM等を送る。登記という「出来事」が起点となり、営業担当者はその動きに反応する形です。
2026年10月以降は、受付帳に記録される項目が簡素化され、「登記の目的」「不動産所在事項」が削除されます。
そのため、これまでと同じ方法で受付帳から相続・売買物件を一覧的に抽出することは難しくなります。
そこで考えたいのが、「自分たちで候補を見つけに行く」営業モデルです。
地図や物件条件から候補を絞り、地番を特定し、必要に応じて登記情報から所有者や権利関係を確認する。「登記が起きたから営業する」のではなく、「自社が提案しやすい物件条件から営業先を逆算する」考え方です。
| 比較 | 受付帳型(これまで) | 条件設計型(これから) |
|---|---|---|
| 起点 | 登記の動き(相続・売買など) | 物件・所有者の条件 |
| タイミング | 登記変動後に候補化 | 登記変動の有無だけに依存せず候補化 |
| 対象 | 受付帳から把握できた登記案件 | 自社の条件に合う不動産・所有者 |
| 競合との差 | 同じ情報源に依存しやすい | 抽出条件によって独自のリストを作れる |
| 再現性 | 受付帳の記録内容に依存。改正後は従来型の抽出が困難 | 条件を変更しながら繰り返し候補を抽出できる |
ポイントは、営業候補を選ぶための条件そのものが会社のノウハウになることです。
受付帳型の営業では、複数の会社が同じ登記情報を起点として営業することがあります。
不動産登記受付帳の開示請求は、国への情報公開請求の約64%
総務省「令和6年度における行政機関情報公開法の施行の状況について」によると、同年度の開示請求215,425件のうち、138,476件が不動産登記受付帳に関するもので、約64.3%を占めていました。
法務省は、登記事務のデジタル化によって不要となった記録事項を整理するとともに、大量の開示請求による事務負担を軽減し、登記事務の適正化・効率化を図る趣旨を説明しています。一方、意見募集では、相続登記直後のDM等についてプライバシー上の懸念を指摘する意見も寄せられています。
※不動産登記受付帳は、行政機関情報公開法に基づく開示請求によって取得します。開示請求には原則として行政文書1件につき300円の手数料が必要で、開示決定は原則30日以内です。実際の開示方法や実施手数料については、各法務局の最新案内をご確認ください。
一方、条件設計型では、どのエリアを見るか、どの程度の土地面積を対象にするか、築年数をどう設定するか、土地利用の状態をどう見るか、所有形態や担保情報をどう組み合わせるかによって、作られる営業リストが変わります。
自社独自の抽出条件を設計し、営業結果をもとに改善していくこと自体が競争力になります。
条件設計とは——「誰に営業するか」の基準を自社でつくる
条件設計とは、営業対象を担当者の勘や経験だけで決めるのではなく、検証可能な条件の組み合わせによって候補を絞る考え方です。
ステップ1:営業目的を決める
最初に、「何を提案したいのか」を明確にします。
| 営業目的 | 候補になりうる不動産 |
|---|---|
| 売却仲介の仕入れ | 空き家、遊休地、長期保有不動産、築古アパートなど |
| 土地活用提案 | 駐車場、空き地、低利用地、一定面積以上の土地など |
| 建替え・修繕提案 | 築年数が進んだアパート・住宅など |
| 買取再販 | 築古戸建て、旧耐震物件など |
| 地主営業 | 一定面積以上の土地、複数筆・複数物件の所有者など |
※上記は営業候補を考えるための一例です。実際の対象条件は、商材・エリア・法令・接道・建築条件・過去の成約実績等を踏まえて設定してください。
ステップ2:抽出条件を設計する
営業目的に合わせて、候補を抽出するための具体的な条件を設定します。以下の数値・条件はあくまで設計例です。実際には、自社の過去実績や営業エリアに合わせて調整します。
例:駐車場・低利用地への売却・活用提案
| 条件項目 | 設定例 | 条件を見る理由 |
|---|---|---|
| エリア | 営業店の管轄エリア内 | 営業可能な範囲へ絞る |
| 建物状況 | 建物登記が確認できない土地等 | 更地・駐車場等の候補を絞る起点にする |
| 面積 | 例:200㎡以上 | 自社商品が成立しやすい規模へ絞る |
| 建築条件 | 用途地域・建ぺい率・容積率・接道等 | 自社の提案が成立する可能性を確認 |
| 所有形態 | 個人・法人・共有等 | 所有形態に応じて提案内容や接触方法を分ける |
建物登記が確認できないからといって、必ずしも現況が更地や駐車場とは限りません。候補抽出後は、地図・現況情報等も合わせて確認することが重要です。
例:借換え候補を探す場合(金融機関向け)
| 条件項目 | 設定例 | 条件を見る理由 |
|---|---|---|
| エリア | 自行の営業エリア内 | 営業可能な範囲へ絞る |
| 乙区の抵当権者 | 自行以外の金融機関 | 他行融資が設定されている候補を把握 |
| 設定時期 | 一定年以上前(例:10年以上) | 契約条件等を確認する候補を絞る |
| 物件種別 | アパート・賃貸マンション等 | 融資商品の対象となりうる物件へ絞る |
抵当権の設定時期や債権額だけで、現在の残債や借換えメリットまで確定できるわけではありません。登記情報は、あくまで「詳しく確認すべき候補を見つける材料」として利用します。
ステップ3:抽出 → 優先順位 → アプローチ
条件で候補を絞り込んだら、必要に応じて登記情報から所有者・抵当権・設定時期などを確認し、提案の優先順位をつけます。
自社で評価指標を持ち、優先順位を数値化する
候補を抽出した後は、物件条件・所有者条件・登記条件・自社との相性など、営業成果に影響する項目を自社で定義し、候補の優先順位を比較できる状態にしておくことが重要です。
一律の点数や配点を使うのではなく、自社の商談・成約データを見ながら評価基準を継続的に見直します。担当者の感覚だけに頼らず、営業候補を共通基準で判断できる状態を目指します。
- 訪問
- 電話
- 郵送
- 既存顧客への提案
- 他部署・専門家との連携
条件設計は、一度作って終わりではありません。
実際に営業して反応を確認し、条件を調整していくことが重要です。「200㎡以上」で抽出した候補より「300㎡以上」の候補の方が商談につながりやすいという結果が出れば、次回から抽出条件を変更します。逆に対象を絞りすぎて営業件数が足りなければ、条件を緩めます。
抽出 → 営業 → 結果確認 → 条件修正、というサイクルを繰り返すことで、自社独自の営業ノウハウが蓄積されます。
過去の受付帳・謄本データを資産として活かす
2026年10月以降、新たな受付帳では「登記の目的」「不動産所在事項」を確認できなくなります。
その一方で、これまでに取得した受付帳データや登記簿謄本、営業履歴は、現在の登記情報等と照合しながら再利用できます。
むしろ、受付帳から新しい候補を作りにくくなるからこそ、過去に蓄積した情報を整理する価値は高まります。
過去データから掘り起こせる候補
| データの種類 | 掘り起こし方 | 営業仮説 |
|---|---|---|
| 過去の受付帳データ(相続登記) | 現在の登記情報と照合し、所有権移転等の変化を確認 | 相続後も長期保有している不動産等 |
| 過去に取得した登記簿謄本 | 過去と現在を比較し、所有・担保等の変化を確認 | 長期保有地主、資産活用・承継相談等 |
| 過去のDM送付先リスト | 未反応先を条件別に再分類する | 当時と状況が変化している可能性のある候補 |
| 営業担当者の個人メモ・名刺 | 担当者ごとの情報を一元化する | 属人的に管理されていた見込み客 |
重要なのは、過去データだけを現在の情報として扱わないことです。過去の受付帳や謄本から候補を作った場合でも、営業前には現在の登記や物件状況を確認し、変化がないかをチェックします。
データ整理のポイント
過去データがPDFのまま保管されていたり、担当者ごとにExcelファイルが分散していたりすると、候補を掘り起こすだけでも大きな手間がかかります。
登記簿PDFが大量にある場合は、無料PDF変換サービス(1回100件まで)を利用してExcel化し、所有者名、地番、受付年月日、登記原因、抵当権者、設定時期などで並べ替え・フィルタリングできる状態にしておくと、過去データを再利用しやすくなります。
100件を超える規模など、大量の謄本取得・データ化については、条件や用途に応じて個別に対応する方法もあります。
業種別の営業アプローチ
受付帳の記録事項簡素化による影響は、不動産会社だけとは限りません。業種ごとに、2026年10月以降の営業方法を考えてみます。
不動産会社(仲介・買取再販)
受付帳から相続・売買案件を抽出し、仕入れ営業につなげていた会社では、影響が大きくなりやすいと考えられます。
特に受付帳由来のDM等が仕入れルートの一定割合を占めている場合は、早めに代替となる営業方法を試しておく必要があります。
- 条件設計型の営業リスト作成へ移行する
- 空き家・駐車場・築古物件・低利用地等から候補を抽出する
- 対象不動産の所有者を登記情報で確認する
- 過去の受付帳・謄本データを棚卸しする
- 一括査定サイト・広告・紹介等を含め、現在の仕入れ経路の構成比を確認する
まずやるべきなのは、受付帳由来の仕入れが全体の何割を占めているかを把握することです。
金融機関(融資先開拓・借換え)
金融機関の場合、既存取引先については顧客からの届出等によって相続や住所変更等を把握できる場面もあります。
一方、受付帳を利用して他行の抵当権設定などを一覧的に把握していた場合は、従来と同じ方法で候補を発見することが難しくなります。
- 対象エリア・物件条件から候補不動産を絞る
- 個別物件の乙区を確認し、他行の抵当権設定を把握する
- 設定時期が古い融資等を、借換え検討候補として整理する
- 担保余力がある可能性のある物件を抽出し、追加融資等の提案仮説を作る
- 同一所有者が持つ複数不動産を確認する
登記情報だけで融資残高や借換え可否を確定できるわけではありません。「確認すべき顧客・不動産を絞るための材料」として使うことがポイントです。
詳しくは、「融資先開拓とは?金融機関の新規営業を不動産データで効率化する実務ガイド」をご覧ください。
建設会社・ハウスメーカー
建設会社やハウスメーカーでは、「所有者」から探すだけでなく、建築提案が成立しそうな物件条件から候補を絞る方法が考えられます。
- 築年数が進んだアパート・戸建て
- 一定面積以上の土地
- 駐車場・空き地・低利用地
- 自社商品に適した用途地域
- 建ぺい率・容積率等から一定規模の建物が検討できる土地
候補となる物件を絞ったうえで所有者を確認することで、無差別に地主へ営業するよりも、提案理由を作りやすくなります。
ただし、実際の建築可否については、接道、法令制限、条例、現況等の個別確認が必要です。
士業(司法書士・税理士)
相続登記義務化などを背景に、不動産の相続・承継・資産整理に関する相談の重要性は高まっています。
- 顧問先が保有する不動産の棚卸し
- 複数不動産の所有状況整理
- 共有不動産の確認
- 相続・資産承継に向けた現状整理
- 不動産会社や金融機関との専門家連携
相続や資産承継に関する情報はセンシティブなため、営業目的だけではなく、既存顧客との信頼関係や相談支援を前提に運用することが重要です。
2026年10月までの実装ロードマップ
施行日は2026年10月1日です。新しい営業方法を一度に完成させる必要はありません。
まず現在の受付帳依存度を把握し、小規模な営業テストを実施したうえで運用方法を整えるのが現実的です。
| 時期 | やるべきこと |
|---|---|
| 8月(今すぐ) | 受付帳由来のリード・商談・成約が仕入れ全体の何割を占めるか定量化する |
| 8月 | 過去の受付帳データ・謄本データを棚卸しし、現在の登記と照合できる状態にする |
| 8〜9月 | 条件設計型の営業リスト作成を試行し、少数件から営業テストを行う |
| 9月 | 抽出→アプローチ→反応確認→条件修正のサイクルを1回以上回す |
| 9月 | 営業フロー・管理表・担当者・データ保管ルールを「受付帳に依存しない」前提で整備する |
| 10月1日〜 | 新しい抽出・営業方法を本格運用する |
| 10〜12月 | 商談率・成約率等を確認し、成果が出る条件を社内で共有・標準化する |
最初に行いたいのは、受付帳依存度の定量化です。
受付帳由来のリードが仕入れ全体の5%なのか、50%なのかでは、対策の緊急度が大きく異なります。まず、受付帳由来のリード数 → 商談数 → 成約数を直近3〜6か月程度で集計してみると、影響を把握しやすくなります。
コンプライアンス上の注意
受付帳に代わる営業方法を導入する際には、営業効率だけでなく、個人情報や勧誘方法についても確認が必要です。
登記事項証明書は誰でも請求できる。ただし利用方法には注意が必要
不動産登記法第119条では、何人も手数料を納付して登記事項証明書の交付を請求できるとされています。
一方、登記簿等に記載された氏名・住所なども、個人を識別できる場合には個人情報に該当します。
そのため、登記情報を営業活動や顧客管理に利用する場合は、何の目的で利用するのか、誰がアクセスできるのか、どの程度保存するのか、どのように廃棄するのか、第三者提供が発生するかなどを整理しておく必要があります。
また、個人情報保護委員会のQ&Aでは、登記簿等により公開されている情報であっても個人情報であることに変わりはなく、取得する場合には利用目的の特定が必要とされています。あらかじめ利用目的を公表している場合を除き、取得後は速やかにその利用目的を本人に通知し、または公表する必要があります。
アプローチの方法にも配慮する
登記情報をもとにDM・電話・訪問などを行う場合も、送付内容や頻度、接触時期、業種ごとの法令・社内ルール等を確認して運用します。
- 「相続したことを知っています」と強調する
- 相続直後に短期間で何度も接触する
- 「今すぐ売らないと損をする」など不安を煽る
- 登記情報だけから所有者の事情を断定する
といった営業方法は避けるべきです。登記情報は、営業仮説を作るための情報であり、所有者本人の意思を示すものではありません。
個人情報の管理
取得した所有者情報をExcelや営業システム等に登録し、検索・共有できる状態にする場合は、個人情報保護法や社内規程に沿った管理が必要です。
- アクセス権限
- データの持ち出し
- 保存期間
- パスワード管理
- 退職者の権限削除
- 不要データの削除
営業トークにも注意する
宅地建物取引業者が取引の勧誘を行う場合は、宅地建物取引業法第47条等に定められた禁止行為にも注意する必要があります。
登記情報から推測した内容を事実のように伝えたり、重要な事項について事実と異なる説明をしたりしないよう、営業担当者向けのルールも整備しておきましょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別案件の法的判断については、法務局、弁護士、司法書士等の専門家へご確認ください。
不動産チェッカーで条件設計型の営業を始める
不動産チェッカーは、物件条件と登記情報を組み合わせ、営業候補を探す業務を支援するサービスです。
- 地図上から営業エリアの不動産を確認する
- 面積・家屋数・用途地域等から候補を絞り込む
- 登記情報から所有者・抵当権・根抵当権等を確認する
- 融資ランキング等からエリア内の融資状況を分析する
- 抽出した情報をExcel等で整理・共有する
受付帳が「登記が起きた物件を起点にする」営業だったのに対し、条件設計型営業では、「自社が探したい物件条件を決め、そこから候補を見つける」ことが起点になります。
2026年10月以降に向けて新しい営業方法を検討している場合は、まず自社の営業エリアで、「どのような条件なら営業候補を作れるのか」を確認してみるところから始めるとよいでしょう。
登記簿PDFの一括データ化には、無料PDF変換サービス(1回100件まで)も利用できます。大量の謄本取得・データ化についても、用途や件数に応じてご相談いただけます。
受付帳改正対応の完全ガイドPDFを無料配布しています
2026年10月改正対応|全13ページ・無料PDF
受付帳に頼らない不動産営業 完全ガイド
本記事の内容をさらに詳しく、図解中心でまとめた実践ガイドです。営業会議や経営層への説明・検討資料としてもご活用いただけます。
- 制度改正の正確な内容
- 営業への影響と従来型営業の変化
- 条件設計の具体的な手順
- 営業リスト作成の流れ
- 不動産・金融・建設・士業の業種別プレイブック
- 2026年10月までの実装ロードマップ
- コンプライアンスチェックリスト
- 不動産チェッカーの活用方法
※受付帳そのものが廃止される改正ではなく、2026年10月1日から記録事項が簡素化されます。
よくある質問
Q. 受付帳が使いにくくなった後、営業リストはどう作ればいいですか?
物件の条件を先に決め、候補を絞ったうえで必要な登記情報を確認する方法があります。例えば、空き地、駐車場、築古物件、土地面積、用途地域などから候補を抽出し、地番や所有者、権利関係を確認します。受付帳のように「登記の動きから探す」のではなく、「自社の条件から候補を見つける」アプローチです。
Q. 過去に取得した受付帳データはまだ使えますか?
過去データを営業候補の抽出材料として再利用することはできます。ただし、過去の受付帳や謄本情報が現在も同じ状態とは限りません。営業に利用する前に現在の登記情報等と照合し、所有者や権利関係に変化がないか確認することが重要です。
Q. 登記情報を営業に利用する場合、何に注意すればよいですか?
登記事項証明書は不動産登記法第119条に基づき、何人も交付を請求できます。一方、登記簿に記載された氏名・住所等も個人情報に該当する場合があります。営業活動に利用する際は、利用目的、データの管理方法、接触方法、業種ごとの法令・社内ルール等を確認したうえで運用する必要があります。
Q. 金融機関にも影響がありますか?
受付帳を使って他行の抵当権設定等を一覧的に把握していた場合は、影響を受ける可能性があります。改正後は、対象となるエリアや不動産を先に絞り、必要に応じて個別の登記情報から抵当権者等を確認する方法への切り替えが考えられます。
Q. 2026年10月までに最低限やっておくべきことは?
まず、受付帳由来のリード・商談・成約が、自社の仕入れ全体の何割を占めているかを定量化することです。影響の大きさが数字で分からなければ、代替策にどこまで時間や予算をかけるべきか判断できません。
Q. 不動産チェッカーは条件設計型の営業に使えますか?
不動産チェッカーでは、地図や面積、家屋数、用途地域、登記情報等を組み合わせて候補を絞り込むことができます。受付帳を起点とするのではなく、「自社が探したい不動産の条件から候補を作る」業務に活用できます。
まとめ
2026年10月の受付帳の記録事項簡素化によって難しくなるのは、受付帳だけを起点として、どの不動産で相続・売買等の登記があったのかを一覧的に把握する営業方法です。
登記事項証明書や登記情報そのものを確認する仕組みがなくなるわけではありません。
これからの不動産営業では、受付帳という共通の情報源だけに頼るのではなく、
自社の営業目的に合った条件を設計する
↓
地図や物件情報から候補を絞る
↓
必要な登記情報を確認する
↓
自社基準で優先順位を評価する
↓
営業する
↓
結果をもとに条件・評価指標を改善する
という仕組みを持つことが重要になります。条件設計の精度と、改善を続けるスピードが、営業成果の差につながります。
まずは2026年10月の施行前に、「受付帳由来のリードが自社の営業・仕入れの何割を占めているか」を定量化するところから始めましょう。
改正の制度的な内容については、「受付帳廃止とは?2026年10月の登記規則改正で不動産会社の仕入れはどう変わるか」で解説しています。
関連記事
本記事で参照した法令・資料
- 不動産登記規則及び企業担保登記規則の一部を改正する省令(令和7年法務省令第49号、2025年10月10日公布・2026年10月1日施行)
- e-Govパブリック・コメント:不動産登記規則等の一部を改正する省令案の概要に関する意見募集の結果
- e-Gov法令検索:不動産登記規則(令和7年法務省令第49号による改正後の条文/2026年10月1日施行分)
- 総務省:令和6年度における行政機関情報公開法の施行の状況について(2025年9月公表)
- 不動産登記法第119条(登記事項証明書の交付等)
- 個人情報保護委員会:「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に関するQ&A(Q2-4)
- 宅地建物取引業法第47条(業務に関する禁止事項)
ご注意ください
本記事は2026年8月時点の公表情報にもとづく一般的な情報提供を目的としています。制度の詳細や実際の取り扱いについては、法務局または司法書士などの専門家へご確認ください。営業活動や登記情報の利用については、個人情報保護法、各種法令、社内規程、業界ルールを確認のうえ運用してください。
受付帳に頼らない営業リスト作成を始めませんか?
営業エリアや商材に合わせて、物件条件から候補を絞り、必要な登記情報を確認する営業方法をご相談いただけます。