不動産営業 仕入れ方法
公開日:2026/08/21 更新日:2026/08/21

不動産仕入れとは?仕入れ方法7選と優良物件を見つける新しい方法

不動産仕入れを増やすには、紹介や公開物件を待つだけでなく、自社が買える・仲介できる物件条件から候補を探す仕組みが重要です。7つの仕入れ方法を比較し、仕入れを安定させる実務フローまで解説します。

不動産仕入れの7つの方法と優良物件を見つける考え方を表した記事サムネイル
不動産仕入れの全体像をつかみ、仕入れルートを複線化することが安定的な仕入れのポイントです。

結論:不動産仕入れで安定して成果を出すには、仲介会社からの紹介や公開物件情報を待つだけでなく、「自社が買える・仲介できる物件の条件を決め、候補を自社で見つける仕組み」を持つことが重要です。

不動産の仕入れ方法には、仲介会社・同業者からの紹介、レインズ等の業者間情報、既存顧客・士業・金融機関からの紹介、現地調査、所有者への直接アプローチ、売却査定の集客、そして不動産データを使った候補抽出などがあります。

どれか一つだけが正解ではありません。重要なのは、仕入れルートを複数持ち、「待つ仕入れ」と「探す仕入れ」を組み合わせることです。

この記事でわかること

  • 不動産仕入れの意味と、買取・用地仕入れ・媒介獲得の違い
  • 代表的な不動産仕入れ方法7選
  • 仕入れ先が安定しない会社に共通しやすい課題
  • 仕入れ候補を自社で見つける「条件設計」の考え方
  • 空き地・築古・相続・長期保有などを候補化するときの注意点
  • 仕入れリストを営業チームで運用する方法
  • 不動産チェッカーを仕入れ業務へ活用する方法

不動産仕入れとは?

不動産仕入れとは、事業に必要な土地・建物や、売却案件となる物件情報を確保する活動です。ただし、不動産会社の業態によって「仕入れ」が指す範囲は異なります。

仕入れの種類主な目的仕入れるもの
買取再販購入後に改修・再販して利益を得る中古マンション、戸建て、一棟物件など
用地仕入れ開発・分譲・建築へつなげる土地、隣接地、開発候補地など
売買仲介の仕入れ売主から売却依頼を獲得する売却案件、媒介契約、物件情報
収益不動産の仕入れ保有・運用・再販につなげる一棟アパート、マンション、事業用不動産など

検索で「不動産 仕入れ 方法」と調べる人の中にも、実物の不動産を買い付けたい人と、売主から媒介を獲得したい人の両方がいます。本記事では両者を含め、「自社の売上につながる物件・売主候補を確保する活動」として整理します。

売主を発掘して媒介を獲得する営業については、次の記事「物上げ営業とは?」で詳しく解説します。

不動産仕入れ方法7選

不動産の仕入れ方法は、大きく「すでに市場や人脈の中にある情報を得る方法」と「自社で候補を探しに行く方法」に分けられます。

仕入れ方法強み課題
1.仲介会社・同業者からの紹介案件化した情報を得やすい競合も多く、紹介元との関係性に左右される
2.レインズ・業者間物件情報流通中の物件を広く確認できるすでに市場へ出ているため競争になりやすい
3.既存顧客・紹介信頼関係を起点に相談化しやすい件数を自社でコントロールしにくい
4.士業・金融機関・管理会社等との連携相続・資産整理・管理などの相談につながる場合がある紹介関係の構築に時間がかかる
5.売却査定・Web集客売却意向を持つ所有者と接点を作りやすい広告費・媒体依存・他社競合が発生しやすい
6.現地調査・訪問・DM自社の重点エリアに深く入り込める候補選定が粗いと工数が大きい
7.不動産データから候補を抽出自社条件で営業候補を作れる条件設計と情報の適切な利用・管理が必要

国土交通省によると、レインズは宅地建物取引業者間の物件検索システムで、媒介依頼を受けた不動産会社が登録した売却・賃貸物件情報を業者間で共有する仕組みです。

レインズは重要な情報源ですが、仕入れを安定させるには、公開・流通した物件を見るだけでなく、市場に出る前の「候補」をどう持つかも考える必要があります。

不動産仕入れの7つのルートを待つ仕入れと探す仕入れに分けて示した図
一つの仕入れルートへ依存せず、紹介・流通情報と、自社で候補を探す仕組みを組み合わせます。

なぜ不動産の仕入れ先が安定しないのか

「もっと仕入れを増やしたい」と考えても、紹介件数や売却査定の反響は自社だけでは完全にコントロールできません。仕入れが安定しない会社では、次のような状態が起きやすくなります。

  • 仲介会社・紹介者から案件が来るのを待っている
  • 担当者ごとに人脈や仕入れ方法が異なり、属人化している
  • 営業エリアは決まっているが「どんな物件を探すか」が曖昧
  • 候補物件を見つけても、所有者調査に時間がかかる
  • 過去に断られた所有者・物件を再確認する仕組みがない
  • 仕入れ結果を分析せず、翌月も同じ探し方を繰り返している

そこで必要になるのが、仕入れ候補を「情報が来てから探す」のではなく、自社が買える・仲介できる条件から先に作る考え方です。

仕入れ候補を自社で見つける「条件設計」

条件設計とは、自社の商材・営業エリア・過去の成約傾向から、どのような物件を優先して調べるかを決めることです。

受付帳に頼らない不動産営業でも解説している通り、今後は「登記が起きた物件を待つ」だけでなく、物件条件から候補を先に作る営業の重要性が高まります。

営業テーマ見る条件の例提案仮説
売却仲介遠隔地所有、共有、長期保有、空き家売却査定、資産整理
買取再販築古、空室、低利用、権利整理余地買取、再生、出口提案
用地仕入れ面積、接道、用途地域、隣接筆共同化、開発、売却
収益不動産築年数、稼働状況、担保、保有期間売却、組替え、修繕

※上記は候補抽出の例です。条件だけで所有者の売却意向やニーズを断定することはできません。

STEP1:自社が欲しい物件を言語化する

「良い物件」ではなく、エリア、物件種別、面積、築年数、用途地域、価格帯、出口戦略などを具体化します。

STEP2:地図・物件情報から候補を抽出する

空き地、駐車場、築古建物、一定面積以上の土地など、自社の仕入れ条件に合う候補を探します。

STEP3:所有者・登記・権利関係を確認する

対象物件を絞ったうえで、必要に応じて登記簿謄本から所有者、所有権移転、抵当権・根抵当権などを確認します。

STEP4:A/B/Cで優先順位を付ける

すべての候補へ同じ工数をかけず、自社の仕入れ条件への適合度と、確認できた情報をもとに優先順位を付けます。

条件設定から候補抽出、登記確認、優先順位付け、営業までの不動産仕入れフロー図
仕入れ候補を先に作り、営業結果を次の条件設計へ戻すことで、仕入れノウハウを蓄積できます。

仕入れ候補になりやすい物件をどう探すか

仕入れ候補の条件は、業態によって変える必要があります。例えば、同じ「築古」でも、戸建て買取再販と一棟収益不動産では見るべき条件が異なります。

候補の切り口確認する理由注意点
空き地・低利用地売却・土地活用・開発等の検討余地を確認現況や所有者意向は別途確認が必要
築古物件修繕・建替え・買取再販等の可能性を検討築年数だけで売却意向を判断しない
長期保有資産整理・組替え等の相談余地を検討長く持っていること自体は売却理由ではない
相続による所有権移転保有方針や資産整理の相談が発生する場合がある相続直後の心情・接触時期へ配慮する
共有名義将来の処分・活用で合意形成が論点になる場合がある共有者の意向は登記からは分からない
複数物件保有資産全体の組替え・売却相談へ広げられる場合がある名寄せ・現況確認が必要

相続不動産については相続後に売却相談が起きやすい不動産、相続登記そのものについては相続登記とは?で詳しく解説しています。

不動産仕入れリストの作り方

仕入れ候補が増えてきたら、担当者の頭の中だけで管理せず、リストとして共通化します。

項目記録例
物件情報所在、地番、物件種別、面積、築年数、用途地域
所有者・登記所有者、所有権移転の履歴、共有、担保情報
候補理由築古、空き地、長期保有、重点エリアなど
優先順位A/B/C、または自社独自スコア
営業履歴接触日、結果、会話内容、次回予定
検証項目商談化、査定化、媒介獲得、買取成立など

営業先リストの基本的な作り方は、既存記事「不動産営業リストの作り方」もあわせてご覧ください。

仕入れリストの価値は「件数」だけではない

重要なのは、1000件集めることではなく、なぜ候補なのか、誰がいつ接触し、結果がどうだったかを残すことです。結果を蓄積すれば、「どの条件が商談になりやすいか」を次回の候補抽出へ戻せます。

仕入れ営業を1週間の業務に落とし込む

仕入れを属人的な「空いた時間の営業」にしないためには、候補抽出から振り返りまでを週間業務として固定します。

曜日作業例
重点エリア・条件を決め、候補50〜100件を抽出
地番・所有者・登記を確認し、A/B/Cに分類
水〜木Aランクへ訪問・電話・郵送等。提案理由と反応を記録
反応・失注理由を集計し、翌週の抽出条件へ反映

この形にすると、「今週は紹介がなかったから仕入れゼロ」という状態から、自社で仕入れ候補を補充する仕組みへ変えやすくなります。

不動産チェッカーを仕入れに活用する

不動産チェッカーでは、地図上から土地・建物を確認し、物件条件や登記情報を組み合わせて、営業・仕入れ候補を絞り込む業務に活用できます。

  • 重点エリアを地図上で確認する
  • 面積、家屋数、用途地域、築年数などから候補を絞る
  • 必要な物件について所有者・登記情報を確認する
  • 相続・売買等の所有権移転や担保情報を営業仮説に使う
  • 候補をExcel等で整理し、チームで優先順位を共有する

「登記が取れるツール」としてではなく、仕入れ候補を見つけ、調べ、営業リストにするまでの作業を短くするための仕組みとして使うのがポイントです。

地主への直接営業を強化したい場合は、地主営業で成果が出ない7つの理由も参考になります。

地図から物件を見つけ、条件抽出、所有者確認、リスト化、営業へつなげる一気通貫のワークフロー図
候補探しと所有者調査を分断せず、同じ営業フローの中で行うことが仕入れ効率化のポイントです。

仕入れで登記・所有者情報を使うときの注意点

登記簿等で公開されている氏名・住所であっても、個人情報であることに変わりはありません。個人情報保護委員会は、登記簿等を閲覧して個人情報を取得する場合も利用目的の特定が必要としています。

仕入れリストとして体系的に管理する場合は、利用目的、アクセス権限、保存期間、持ち出し、削除、接触方法などについて、自社の個人情報保護方針・社内規程に沿って運用します。

また、空き家・築古・相続・共有といった条件は、「売りたい」という本人の意思を示すものではありません。データは候補を絞り、何を確認すべきかを考える材料として扱います。

よくある質問

Q. 不動産仕入れとは何ですか?

自社で購入・開発・再販する土地や建物を確保したり、売買仲介で売主から売却依頼を獲得したりする活動です。業態によって「物件そのものを買う仕入れ」と「売却案件を獲得する仕入れ」があります。

Q. 不動産の仕入れ方法には何がありますか?

仲介会社・同業者、レインズ等の業者間情報、既存顧客や紹介、士業・金融機関との連携、売却査定・Web集客、現地調査やDM、物件・登記データからの候補抽出などがあります。

Q. 不動産の仕入れ先を増やすにはどうすればよいですか?

紹介や公開物件だけに依存せず、自社が仕入れたいエリア・物件種別・築年数・面積等の条件を決め、候補を継続的に抽出する仕組みを追加すると仕入れルートを分散できます。

Q. レインズだけで仕入れはできますか?

レインズは宅地建物取引業者間で流通物件を検索する重要な仕組みですが、仕入れルートを一つに限定する必要はありません。紹介、直接開拓、データからの候補抽出などを組み合わせる方法があります。

Q. 仕入れ候補リストはどのように作りますか?

まず自社の仕入れ条件を決め、物件候補を抽出し、必要に応じて所有者・登記を確認します。その後、候補理由・優先順位・接触履歴・結果を一覧化し、営業結果を次の抽出条件へ反映します。

Q. 相続や築古の物件は売却しやすいですか?

相続や築年数だけで売却意向を判断することはできません。保有方針、利用状況、家族の事情などは所有者本人へ確認する必要があります。条件は営業仮説を作る材料として使います。

まとめ

不動産仕入れを安定させるには、紹介や流通情報を待つ仕入れだけでなく、自社が欲しい物件条件から候補を探す仕組みを持つことが重要です。

仕入れ条件を決める

候補物件を抽出する

所有者・登記を確認する

優先順位を付けて営業する

結果を次の条件へ反映する

このサイクルを回せば、担当者個人の人脈だけではなく、会社として仕入れノウハウを蓄積できます。

売主を直接発掘して媒介獲得へつなげる「物上げ営業」を詳しく知りたい方は、次の記事「物上げ営業とは?売主候補の探し方と効率的に仕入れを増やす方法」をご覧ください。

ご注意ください

本記事は一般的な情報提供を目的としています。実際の仕入れ判断、売買価格、建築可否、権利関係、税務・法務等については、対象物件ごとに専門家・関係機関へご確認ください。登記・所有者情報を営業に利用する場合は、個人情報保護法、各種法令、自社規程等に従って適切に取り扱ってください。

仕入れ候補を「待つ」だけでなく、自社で見つけませんか?

地図・物件条件・登記情報を組み合わせ、営業エリアの中から候補を絞り、所有者確認や営業リスト作成までを効率化できます。