用語集 2024年4月 義務化
公開日:2026/08/20 更新日:2026/08/20

相続登記とは?義務化の内容と登記情報から相続の兆候を読み取る方法

相続登記は2024年4月1日から義務化されています。本記事では3年以内の申請期限、過料、相続人申告登記、登録免許税の免税措置を整理し、2026年10月の受付帳改正後に登記情報をどう確認するかを実務目線で解説します。

相続登記と不動産の名義変更を表すイメージ
相続登記は、不動産を相続した際に登記簿上の権利関係を相続人へ反映する手続きです。

結論:相続登記とは、不動産の所有者が死亡し、相続人が不動産の所有権を取得した際に、その権利関係を登記簿へ反映する手続きです。2024年4月1日から義務化されており、原則として不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があります。

正当な理由なく義務に違反した場合は、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。

2024年4月1日より前に開始した相続も対象です。施行日前に相続で不動産を取得したことを既に知っていた場合、未登記の不動産については2027年3月31日までに相続登記をする必要があります。2024年4月以降に初めて取得を知った場合は、その日から3年以内です。

また、2026年10月の受付帳改正により、受付帳から「相続」という登記目的と対象不動産を結びつけて一覧的に把握する従来手法は難しくなります。今後は、対象不動産を先に特定し、登記簿の甲区から相続の事実や確認すべき兆候を読み取ることが重要になります。

この記事でわかること

  • 相続登記の意味と義務化の内容
  • 2027年3月31日という期限の考え方
  • 相続人申告登記の役割
  • 登録免許税と免税措置
  • 住所等変更登記の義務化との違い
  • 甲区から相続の事実・確認対象を読み取る方法
  • 不動産会社・金融機関での活用時の注意点
相続した不動産の名義変更について相談するイメージ
不動産を相続しても登記名義は自動では変わらず、相続登記の申請が必要です。

相続登記とは

相続登記とは、不動産の所有者が死亡し相続が発生した際に、登記簿上の権利関係を被相続人から相続人へ変更する手続きです。一般には、相続による所有権移転登記を指します。

不動産は、所有者が死亡しても登記簿上の名義が自動的に相続人へ変更されるわけではありません。相続人が法務局へ申請することで、登記簿に新しい所有者が記録されます。

相続登記の義務化——2024年4月1日から

相続登記は、2024年4月1日に施行された改正不動産登記法により義務化されました。

項目内容
義務化の開始日2024年(令和6年)4月1日
基本的な申請期限自己のために相続が開始したことと、不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内
遺産分割が成立した場合遺産分割によって不動産を取得した相続人は、成立日から3年以内にその内容を反映した登記を申請
義務化前の相続2024年4月1日より前に開始した相続も、相続登記が未了なら対象
施行日前に取得を知っていた過去分2027年3月31日まで
過料正当な理由なく義務に違反した場合、10万円以下

重要なのは、単に「死亡を知った日」から3年ではないことです。法律上は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日から期間を数えます。

相続登記の申請期限をカレンダーで確認するイメージ
義務化前に相続したことを既に知っていた未登記不動産は、原則2027年3月31日が期限です。

相続人申告登記——期限内の相続登記が難しい場合

相続人が複数いる場合など、期限内に遺産分割協議や必要書類の準備が整わず、相続登記を申請することが難しいケースがあります。

その際に、基本的な申請義務を簡易に履行する仕組みとして設けられたのが、相続人申告登記です。

相続人申告登記では、自分が登記名義人の相続人であることなどを法務局へ申し出ます。相続人本人が単独で申し出ることができ、通常の相続登記より簡易な手続きとして利用できます。

相続人申告登記は「正式な名義変更」の代わりではありません

相続人申告登記は、不動産についての所有権や持分を公示する登記ではありません。そのため、相続した不動産を売却したり、抵当権を設定したりする場合には、別途、相続登記が必要です。

また、遺産分割が成立した場合には、その成立日から3年以内に、遺産分割の内容に基づく登記を申請する必要があります。

相続登記の費用

相続による所有権移転登記には、原則として登録免許税がかかります。

登録免許税 = 固定資産税評価額 × 0.4%

司法書士へ手続きを依頼する場合は、登録免許税とは別に報酬がかかります。報酬額は、不動産の数、戸籍収集の範囲、相続関係の複雑さ、依頼する業務範囲などによって異なります。

登録免許税の免税措置

相続登記を促進するため、一定の土地について登録免許税の免税措置があります。現在の適用期限は2027年3月31日です。

主な免税措置概要
数次相続に関する免税相続により土地を取得した人が、その相続登記をしないまま死亡した場合に、一定の相続登記の登録免許税が免税
100万円以下の土地不動産の価額が100万円以下の土地について、一定の相続による所有権移転登記等の登録免許税が免税

※土地が対象です。免税を受けるには所定の要件があります。詳しくは法務局の最新案内をご確認ください。

相続登記をしないとどうなるか

期限内の申請義務に正当な理由なく違反すると、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。

  • 売却時に手続きが進みにくい:買主への所有権移転登記を行う前に相続登記を済ませる必要があります
  • 担保設定の前提整理が必要:相続不動産に新たな抵当権等を設定する場合も、相続人の権利関係を登記へ反映する必要があります
  • 権利関係が複雑化する:相続登記をしない間に相続人が死亡すると数次相続となり、関係者が増える可能性があります
  • 所有者把握が難しくなる:登記簿と実際の所有関係が一致しない状態が続くと、不動産の管理や利活用の支障となり得ます

総務省の2023年住宅・土地統計調査では、空き家は900万2千戸で、そのうち「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」は385万6千戸でした。

この統計だけから空き家の原因を相続と断定することはできませんが、法務省は相続登記義務化の背景として、所有者不明土地の増加が民間取引や公共事業、土地管理の支障になっていることを挙げています。

住所等変更登記の義務化にも注意

相続登記とあわせて押さえておきたいのが、2026年4月1日に開始した住所等変更登記の義務化です。

不動産の所有者は、登記簿に記録された住所や氏名・名称に変更があった場合、原則としてその変更日から2年以内に変更登記を申請する必要があります。

正当な理由なく義務に違反した場合は、5万円以下の過料の対象となる可能性があります。

2026年4月1日より前に住所等の変更があり、変更登記がされていない場合も義務化の対象で、原則2028年3月31日までに対応が必要です。

登記事項証明書を確認して相続に関する登記情報を調査するイメージ
甲区では、所有権移転の原因や受付年月日、共有名義、相続人申告登記の記録などを確認できます。

登記情報から相続の事実・確認対象を読み取る方法

2026年10月の受付帳改正後は、受付帳から「相続」という登記目的と対象不動産を結びつけて一覧的に把握する従来手法が難しくなります。

一方、登記事項証明書そのものを確認する仕組みがなくなるわけではありません。対象不動産を特定できれば、甲区から相続による所有権移転等を確認できます。

甲区(所有権)で確認するポイント

確認項目読み取れること
所有権移転の原因「相続」と記録されていれば、相続を原因とする所有権移転登記が行われたことが分かる
受付年月日いつ登記が申請されたかを確認できる。ただし、相続開始日や相続人の意向とは別の情報
共有名義複数人が共有者となっていることを確認できる。将来の処分・活用では共有者間の合意が必要になる場合がある
相続人申告登記正式な相続登記がまだ完了していない可能性を示す。遺産分割未了などの事情がある場合もある

相続登記未了の可能性を考える際の参考情報

長期間所有権の登記に変化がない不動産は、それだけで「所有者が死亡している」「相続登記が未了である」と判断することはできません。

  • 甲区の最終的な所有権移転から長期間経過している
  • 相続人申告登記の記録がある
  • 共有名義となっている
  • 空き家・低利用地など、現況面で追加確認が必要な状態にある

これらは相続発生や売却意思を直接示す情報ではありません。あくまで、現在の権利関係や物件状況を詳しく確認するための参考情報として扱います。

2027年3月31日の期限は営業仮説の一つ

義務化前に相続で取得したことを知っていた未登記不動産については、2027年3月31日が経過措置上の期限です。期限が近づくことで未登記案件の手続きが進む可能性はありますが、個々の所有者が売却・活用を検討することまで意味するものではありません。

不動産営業・金融機関での活用

不動産会社での活用

相続を原因とする所有権移転が確認できた不動産や、長期保有・共有化など追加確認が必要な不動産は、売却相談、空き家活用、資産整理などの提案仮説を考える材料になります。

ただし、相続した=売却したいという意味ではありません。特に相続直後の営業は、相続人の心情や事情に十分配慮し、時期・頻度・文面等を慎重に設計する必要があります。

金融機関での活用

相続をきっかけに、資産承継、納税資金、保有不動産の活用、借換えや担保融資等の相談が発生する場合があります。

既存取引先については、相続に伴う預金手続き等を通じて金融機関が相続を把握するケースもあります。一方、自行の取引先以外を含む不動産所有者について、登記情報は権利変動を確認する手掛かりの一つとなります。

相続登記だけではわからないこと

  • 相続人の売却・活用意向:登記簿は権利関係を示すもので、所有者の意思までは分からない
  • 相続人間の関係性:共有名義であることは確認できても、協議状況や人間関係は分からない
  • 相続税の申告・納税状況:税務情報は登記簿には含まれない
  • 正確な相続関係:法定相続人の範囲や相続放棄等は、戸籍等を含む別の確認が必要

登記情報は「営業仮説を立てるための材料」であり、本人の意思や資金ニーズを示す情報ではありません。

相続に関する不動産調査を効率化する

不動産チェッカーでは、地図上から対象エリアの不動産情報や登記情報を確認し、相続を原因とする所有権移転の確認や、長期保有・長期間登記変更のない不動産を調査する際の候補抽出に活用できます。

例えば、エリアや物件条件から対象を先に絞り、必要な不動産について所有者情報や登記内容を確認することで、受付帳を起点としない調査フローを作ることができます。

複数物件の登記簿PDFをまとめて比較・整理したい場合は、無料PDF変換サービス(1回100件まで)や、条件指定による大量取得・データ化の相談も可能です。

地図と登記情報を使って相続関連の不動産を調査するイメージ
受付帳改正後は、物件を先に絞り、必要な登記情報を確認する調査フローが重要になります。

よくある質問

Q. 相続登記はいつまでにする必要がありますか?

相続によって不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内です。2024年4月1日より前に相続で取得したことを既に知っていた未登記不動産については、原則として2027年3月31日までに申請する必要があります。

Q. 相続登記をしないとどうなりますか?

正当な理由なく期限内に申請しない場合、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。また、売却・担保設定などの場面で相続登記が必要となるほか、数次相続によって権利関係が複雑になるおそれがあります。

Q. 遺産分割協議がまとまらない場合はどうすればよいですか?

期限内に通常の相続登記を行うことが難しい場合、相続人申告登記によって基本的な申請義務を簡易に履行できます。ただし、遺産分割が成立した後は、その成立日から3年以内に遺産分割の内容に基づく相続登記が必要です。

Q. 相続登記の費用はいくらかかりますか?

相続による所有権移転登記の登録免許税は、原則として固定資産税評価額の0.4%です。司法書士に依頼する場合は別途報酬が発生します。一定の土地については2027年3月31日まで免税措置があります。

Q. 受付帳改正後、相続登記があったことをどう確認しますか?

対象不動産を特定し、登記事項証明書の甲区を確認すると、所有権移転の原因が「相続」であるか、相続人申告登記の記録があるかなどを確認できます。

Q. 相続登記の義務化は過去の相続にも適用されますか?

はい。2024年4月1日より前に開始した相続で取得した不動産も、相続登記が未了であれば対象です。施行日前に取得を知っていた場合は原則2027年3月31日まで、2024年4月以降に初めて知った場合はその日から3年以内です。

まとめ

相続登記は、2024年4月1日から義務化された、不動産の相続による権利変動を登記簿へ反映する手続きです。

原則として不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があり、正当な理由なく義務に違反した場合は10万円以下の過料の対象となる可能性があります。

また、2024年4月1日より前に相続で取得したことを既に知っていた未登記不動産については、原則として2027年3月31日が期限です。

2026年10月の受付帳改正後は、受付帳から相続登記と対象不動産を一覧的に把握する従来手法が難しくなりますが、対象不動産を特定して甲区を確認すれば、相続を原因とする所有権移転や相続人申告登記などを確認できます。

一方、長期保有や共有化といった情報だけで相続や売却意思を断定することはできません。登記情報は、詳しく確認すべき不動産を見つけるための材料として活用し、所有者の事情に配慮した運用が重要です。

本記事で参照した主な資料

  • 法務省「相続登記の申請義務化について」
  • 法務省「相続人申告登記について」
  • 法務省「住所等変更登記の義務化について」
  • 法務局「相続登記の登録免許税の免税措置について」
  • 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」
  • 不動産登記法第76条の2、第76条の3、第76条の5、第164条
  • 租税特別措置法第84条の2の2

ご注意ください

本記事は2026年8月時点の公表情報にもとづく一般的な情報提供を目的としています。具体的な相続登記の期限、必要書類、登録免許税の免税措置、住所等変更登記などについては、法務局または司法書士等の専門家へご確認ください。

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