登記識別情報通知とは、不動産の登記が完了したときに、新たに登記名義人となった人へ 法務局から交付される書面です。書面には、本人確認に用いる12桁の符号である 「登記識別情報」が記載されています。
かつて使われていた「権利証(登記済証)」に代わるもので、 不動産を売却したり、担保に入れたりするときに、登記名義人本人であることを確認するために使われます。
登記識別情報は再発行できません。使う直前まで目隠し部分を開封せず、厳重に保管することが重要です。
この記事でわかること
- 登記識別情報通知と権利証・登記完了証の違い
- 通知書の見方と目隠し部分を開封するタイミング
- 紛失した場合に使える3つの代替手続
- 登記記録から権利証の種類を判別する方法
結論:最初に押さえるべき4点
- 使うまで開封しない: 12桁の符号そのものが本人確認情報なので、司法書士へ渡す直前まで目隠し部分を開けないのが原則です。
- 再発行はできない: 紛失しても登記手続は可能ですが、代替手続には時間または費用がかかります。
- 紛失しても即失効とは限らない: 失効申出は取り消せないため、第三者に知られた可能性を踏まえて慎重に判断します。
- 登記記録には載らない: 登記事項証明書を取得しても、12桁の登記識別情報を調べることはできません。
登記識別情報通知とは何か
権利証の後継として導入された情報
不動産を取得し、所有権保存登記や所有権移転登記をすると、 法務局から新しい登記名義人へ本人確認のための情報が交付されます。 かつては「登記済証」、一般に権利証と呼ばれる書面が使われていました。
2005年3月7日の改正不動産登記法施行後、オンライン化に合わせて導入されたのが登記識別情報です。 権利証は書面そのものが重要でしたが、登記識別情報では12桁の符号そのものが重要です。
登記済証との違い
| 比較項目 | 登記済証(権利証) | 登記識別情報通知 |
|---|---|---|
| 交付時期 | 2005年以前を中心に交付 | 2005年以降、法務局ごとに順次移行 |
| 本質 | 書面そのもの | 記載された12桁の符号 |
| 提出方法 | 原本を提出 | 符号を提供 |
| コピーのリスク | 原本が必要なため比較的低い | 符号を知られるだけで悪用リスクが生じる |
| 再発行 | 不可 | 不可 |
| 現在の効力 | 現在も有効 | 有効 |
登記識別情報は、コピーや写真に残すだけでも情報漏えいの危険があります。 安易に開封・撮影・複製しないことが重要です。
登記完了証との違い
登記完了証は、申請した登記が完了した事実を知らせる書面です。 本人確認に使う権利証としての効力はなく、登記識別情報通知とは別物です。
登記識別情報通知の見方
記載されている主な内容
- 不動産の表示(所在、地番、家屋番号など)
- 不動産番号
- 受付年月日・受付番号
- 登記の目的
- 登記名義人の氏名・住所
- 登記識別情報である12桁の符号
- QRコード
目隠しの方式は2種類
| 交付時期 | 目隠し方式 |
|---|---|
| 2005年3月から2015年頃 | 銀色のシール方式 |
| 2015年2月23日以降、法務局ごとに順次 | 用紙下部を折り込み、縁をのり付けする方式 |
どちらの様式でも効力は同じです。重要なのは、目隠しされた12桁の符号を第三者に知られないことです。
開封は司法書士へ渡す直前まで待つ
使用する予定がない段階で、目隠しシールや折り込み部分を開ける必要はありません。 売却や担保設定の際には、未開封のまま司法書士へ渡し、開封を任せるのが一般的です。
交付される通数
登記識別情報は、不動産ごと・登記名義人ごとに交付されます。
- 土地2筆と建物1棟を単独所有:3通
- 土地1筆を夫婦2人で共有:2通
- 土地2筆を夫婦2人で共有:4通
受け取り方と受取期限
| 申請方法 | 受け取り方 | 期限 |
|---|---|---|
| 書面申請 | 法務局窓口または本人限定受取郵便 | 交付準備の連絡から3か月 |
| オンライン申請 | 暗号化データのダウンロード、または申出により書面交付 | ダウンロード可能となってから30日 |
期限を過ぎると登記識別情報は廃棄され、後から交付を受けることはできません。 登記自体が無効になるわけではありませんが、次回の登記手続では紛失時と同じ扱いになります。
不通知を選択することもできる
登記申請時に、登記識別情報の通知を希望しない旨を申し出ることもできます。 ただし、将来の売却や担保設定時には代替手続が必要になるため、 頻繁に不動産を動かす予定がある場合は通常どおり受け取る方が合理的です。
紛失した場合の3つの対処法
登記識別情報は再発行されませんが、次の代替手続によって登記申請を進めることは可能です。
| 方法 | 費用の目安 | 所要期間 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 事前通知制度 | 無料 | 2週間程度 | 期日に余裕がある贈与など |
| 資格者代理人による本人確認情報 | 数万円〜20万円程度 | 即日対応も可能 | 売買や融資の決済 |
| 公証人による認証 | 数千円程度 | 公証役場への訪問が必要 | 費用を抑え、時間に余裕がある場合 |
事前通知制度
登記識別情報を提供できない理由を記載して登記申請すると、 法務局から登記簿上の住所へ事前通知書が送られます。 発送日から2週間以内に回答しなければ、申請は却下されます。
資格者代理人による本人確認情報
司法書士などが本人と面談し、本人性、登記意思、登記名義人であることを確認して書面化する方法です。 費用は高めですが、売買や住宅ローンの決済では最も多く使われます。
公証人による認証
本人が公証役場へ出向き、司法書士への委任状に署名・押印して認証を受ける方法です。 本人確認情報より費用を抑えられる一方、日程調整が必要です。
失効申出は慎重に行う
登記識別情報が第三者に知られた可能性がある場合は、法務局へ失効の申出を行えます。 ただし、失効すると元に戻すことはできません。
- 新しい登記識別情報は交付されない
- 後から通知書が見つかっても再び有効にはできない
- 将来の売却・担保設定では代替手続が必要になる
単に見当たらないだけならまず探し、盗難や情報漏えいの可能性が具体的にある場合に失効申出を検討します。
判断に迷う場合は司法書士へ相談してください。 登記識別情報が有効かどうかを確認する「有効証明請求」という制度もあります。
登記識別情報が必要な場面・不要な場面
必要になる主な場面
原則として不要な場面
- 相続登記
- 住所・氏名の変更登記
- 抵当権の抹消登記
相続登記自体には、被相続人の権利証は原則として不要です。 ただし、相続登記後に不動産を売却するときは、 相続人へ新たに交付された登記識別情報が必要になります。
登記記録から権利証の種類を判別する方法
不動産会社や金融機関では、所有者が持っている書類が登記済証なのか、 登記識別情報通知なのかを事前に把握することが、決済準備に役立ちます。
| 所有権登記の受付年月日 | 交付された可能性が高いもの |
|---|---|
| 2005年3月6日以前 | 登記済証 |
| 2005年3月7日〜2008年7月14日 | 管轄法務局のオンライン指定日により異なる |
| 2008年7月15日以降 | 登記識別情報 |
移行期間中は法務局ごとに制度開始時期が異なるため、 所有権保存・移転登記の受付年月日と、管轄法務局のオンライン指定日を照合します。
長期保有物件、高齢者が所有する物件、相続が発生している物件では、 権利証が見つからない可能性も踏まえて決済スケジュールを組むことが重要です。
よくある質問
Q. 登記識別情報通知を開封すると無効になりますか?
無効にはなりません。ただし第三者に見られる危険が高まるため、以後は厳重に保管してください。
Q. シールを剥がしたら符号の一部が読めなくなりました。
法務局または司法書士へ相談してください。判読できなければ、紛失時と同じ代替手続が必要になることがあります。
Q. 通知書を持っていれば所有者だと証明できますか?
証明できません。現在の所有者を証明するのは登記事項証明書です。
Q. 他人の不動産の登記識別情報を調べられますか?
調べられません。登記識別情報は登記記録に記載されていません。
Q. 昔の権利証は捨ててもよいですか?
捨てないでください。登記済証は現在も有効な権利証として使えます。
Q. マンションでは土地と建物で別々に交付されますか?
敷地権付き区分建物では通常1通ですが、敷地権化されていない物件では別々になる場合があります。
登記識別情報通知だけでは分からないこと
登記識別情報通知は、その登記が完了した時点で本人確認情報が交付されたことを示す書面です。 現在の権利関係を確認する書類ではありません。
- 現在の所有者
- 抵当権・根抵当権や残債の状況
- 共有者や持分の変動
- 同じ所有者が保有する他の不動産
- 差押えや仮登記の有無
現在の不動産の状況を把握するには、登記事項証明書や登記情報を確認する必要があります。 登記識別情報と登記記録は、目的が異なる情報です。
登記情報から不動産の状況を確認したい場合
不動産チェッカー では、地図上で不動産の登記情報、所有者情報、担保設定の状況などを確認できます。 所有者の保有不動産や抵当権の設定状況から、営業先・融資先を検討する用途に活用できます。
取得済みの登記情報PDFを一覧化する場合は、 無料PDF変換サービス を利用できます。継続的に大量の登記情報を扱う場合は、謄本取得スポットも選択肢です。
まとめ
- 登記識別情報通知は、権利証に代わる12桁の符号が記載された書面
- 使う直前まで開封せず、厳重に保管する
- 再発行はできない
- 紛失時は事前通知、本人確認情報、公証人認証の3つの方法がある
- 失効申出は取り消せないため慎重に判断する
- 相続登記には原則不要だが、相続後の売却には必要
- 移行期は管轄法務局によって権利証の種類が異なる
- 登記識別情報は登記記録には載らない
関連記事
参考・出典
- 不動産登記法 第21条、第22条、第23条
- 不動産登記規則 第61条、第65条、第68条
- 法務省「登記識別情報通知書のシールのはがれ方が不完全である場合の取扱いについて」
- 法務省「登記識別情報通知書の様式の変更等について」
- 法務省「不動産登記の電子申請について」
ご注意ください
本記事は2026年7月30日時点の公開情報をもとに作成しています。 制度の運用や費用は変更される場合があるため、実際の手続きでは法務局および各公式サイトの最新情報をご確認ください。 個別の法的判断については、司法書士などの専門家へご相談ください。
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