相続営業は「候補を持つ→確認する→変化を見る→優先順位を更新する」

結論として、受付帳改正後の相続営業では「相続が起きた人を探す」だけでなく、相続・売却相談につながり得る不動産をあらかじめ候補として持ち、継続的に確認する仕組みが重要です。
相続は発生時点だけを切り取って営業するより、空き家・築古物件・低利用地・遠方所有など、所有者が将来の方針を検討しやすい不動産を整理し、登記や所有状況の変化を確認しながら営業優先度を更新する方が実務に向いています。
この記事でわかること
- 2026年10月1日の不動産登記受付帳の様式変更で何が変わったか
- 相続営業リストに入れたい情報
- 相続営業候補を作る5ステップ
- 空き家・築古・共有・遠方所有などの優先順位の考え方
- 不動産チェッカーを使った候補抽出・登記確認・継続管理
- 相続営業の準備状況を診断する方法
受付帳改正後の相続営業は「新着情報を探す」から「候補を持ち続ける」へ
2026年10月1日から、不動産登記規則の改正に伴い、不動産登記受付帳の様式が変更されました。法務局の案内では、同日以降にされた登記申請について行政文書開示で提供される受付帳には、「登記の目的」および「不動産所在事項」が表記されないとされています。
そのため、受付帳だけを見て「相続」「売買」などの登記目的や対象不動産を判別し、そこから営業対象を作る従来型の方法は難しくなります。
受付帳が使えなくなるわけではありません
今回の変更は受付帳そのものが廃止されるという意味ではありません。開示される様式から特定の項目が外れるため、相続・売買等の登記目的や対象不動産を従来と同じ方法で読み取ることが難しくなる、という点が重要です。
これからは、相続が起きてから対象を探すだけでなく、相続後に売却・管理・活用等の課題が生じやすい不動産を候補として整理し、必要な情報を継続的に確認するという営業設計へ切り替えることが重要です。

相続営業リストに入れたい5つの情報
相続営業リストは「相続した人の名簿」ではありません。営業判断に使えるよう、物件・所有・登記・営業情報を組み合わせて管理します。
| 分類 | 項目例 | 営業で見るポイント |
|---|---|---|
| 物件 | 所在地・地番・建物有無・築年数 | どの不動産を営業候補にするか |
| 不動産状態 | 空き家・築古・駐車場・低利用地等 | 売却・管理・建替え・活用等の仮説 |
| 所有 | 登記上の所有者・共有・保有物件等 | 誰が権利者か、複数不動産があるか |
| 登記 | 所有権変化・確認日・担保等 | 状況変化を営業判断の材料にする |
| 営業 | 優先度・担当者・接触履歴・次回確認日 | 一度きりで終わらず継続管理する |
重要なのは、登記上の事実と営業上の仮説を分けることです。相続や所有権の変化があったことだけで、売却・管理変更・土地活用の意向があると断定することはできません。
相続営業候補を作る基本5ステップ
STEP1 営業エリアを決める
まず、自社が対応できるエリアを明確にします。売買仲介、買取再販、土地活用、管理、建替えなど、提供するサービスによって重点エリアは異なります。
STEP2 相続後に課題が出やすい不動産条件を決める
空き家、築古住宅・アパート、駐車場、低利用地、遠方所有など、自社の提案と相性がある条件を決めます。すべての不動産を同じ優先度で扱わないことがポイントです。
STEP3 地図から候補不動産を抽出する
営業エリア内の土地・建物を地図で確認し、物件条件から候補を絞ります。ここでは「相続したか」を先に探すのではなく、相続後に相談テーマが生まれやすい不動産を候補として持つという考え方を取ります。
STEP4 所有者・登記情報を確認する
有望な候補について、登記上の所有者や権利関係、必要な登記情報を確認します。確認した事実は、営業仮説と分けて記録します。
STEP5 継続確認対象としてリスト化する
Excelや営業管理ツール等へ整理し、確認日・優先度・接触状況・次回確認日を残します。一度調べて終わるのではなく、変化があったときに優先順位を更新できる状態にします。

あなたの会社は、受付帳改正後の相続営業に対応できていますか?
候補の探し方、継続確認、登記変化の確認、謄本取得、営業リスト化まで、自社の準備状況を簡単にチェックできます。
相続営業の優先順位は「相続 × 不動産状態」で考える
相続という出来事だけでは、どのような不動産課題があるかは分かりません。そこで、相続と不動産状態を組み合わせて営業仮説を作ります。
| 組み合わせ | 考えられる相談テーマ例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 相続 × 空き家 | 売却・管理・維持負担 | 空き家だから売却希望とは限らない |
| 相続 × 築古アパート | 管理・修繕・建替え・売却 | 築年数だけでニーズを断定しない |
| 相続 × 共有 | 持分・利用方針・売却相談 | 複数権利者が関係する可能性 |
| 相続 × 遠方所有 | 管理負担・売却・委託 | 距離だけで困りごとを断定しない |
| 相続 × 低利用地 | 売却・土地活用 | 利用状況と意向は別に確認 |
詳しい不動産タイプ別の考え方は、相続後に売却相談が起きやすい不動産、空き家所有者を調べる方法、築古アパートの所有者を探す方法も参考にしてください。
相続営業では「早く連絡する」より「適切に確認し続ける」
相続は所有者やご家族にとってセンシティブな出来事です。登記上の変化が確認できたからといって、すぐ営業すればよいとは限りません。
重要なのは、候補不動産を継続的に管理し、物件状況・既存接点・過去の営業履歴などを踏まえて、相手の状況に配慮した方法・タイミングで接点を作ることです。
- 登記変化だけで「売りたい」と決めつけない
- 不幸や家族事情を直接的な営業文句にしない
- 既存顧客・過去接点がある場合は関係性を確認する
- DM・電話等の営業ルールや個人情報の利用目的を確認する
- 一度反応がなかった相手へ過度に接触しない
相続営業のタイミングや注意点については、受付帳改正後の相続営業と営業タイミングもあわせて確認してください。
不動産チェッカーを使った相続営業の流れ
不動産チェッカーでは、受付帳の新着情報だけを起点にするのではなく、地図・不動産条件・登記情報を組み合わせて候補を作り、継続管理する営業フローを構築できます。
STEP1 地図から候補不動産を探す
重点エリアの土地・建物を地図から確認します。
STEP2 空き家・築古・低利用などの条件で絞る
自社の相続営業と親和性が高い不動産条件を設定し、詳細確認する候補を絞ります。
STEP3 所有者・登記情報を確認する
候補物件について登記上の所有者、必要な権利関係等を確認します。
STEP4 登記等の変化を継続確認する
一度の検索で終わらず、候補不動産の状況変化を確認し、営業優先度を見直します。
STEP5 Excel・タグ・メモで営業リスト化する
確認日、優先度、営業仮説、接触履歴等を整理し、担当者間で共有できる状態にします。

受付帳改正後に社内で決めておきたい5つのルール
- どのエリアを追うか:市区町村・町丁目・重点商圏を定義する
- どの不動産を候補にするか:空き家・築古・低利用・遠方所有などの条件を決める
- いつ何を確認するか:登記・物件情報の確認頻度を決める
- 誰が判断するか:優先度・営業可否・担当者のルールを決める
- どのタイミングで接触するか:相手への配慮を含めた営業基準を整える
この5点が曖昧なままでは、データがあっても担当者ごとに判断がばらつきます。ツール導入より先に、営業ルールとデータ運用をセットで設計することが重要です。

よくある質問
2026年10月1日から不動産登記受付帳はどう変わりましたか?
2026年10月1日以降にされた登記申請に係る不動産登記受付帳について、開示される様式では「登記の目的」および「不動産所在事項」が表記されない取扱いになりました。受付帳だけで相続・売買等の登記目的や対象不動産を判別する従来型の営業は難しくなります。
相続営業リストには何を入れるべきですか?
所在地・地番・建物情報、空き家・築古・低利用などの不動産状態、登記上の所有者・共有状況、登記変化の確認日、営業優先度・接触履歴などを組み合わせて管理すると実務で使いやすくなります。
相続登記が発生したらすぐ営業するべきですか?
一律にそうとはいえません。相続はセンシティブな出来事であり、登記変化だけで売却意向や相談ニーズを断定せず、物件状況や既存の接点、相手の状況を踏まえて適切なタイミングと方法を検討することが重要です。
不動産チェッカーでは相続営業に何ができますか?
地図や不動産条件から候補物件を探し、所有者・登記情報を確認し、Excel出力やタグ・メモ等で営業候補を整理できます。候補を継続的に確認し、登記等の変化を営業判断の材料として活用する流れを作れます。
受付帳が変わると相続営業ができなくなりますか?
相続営業そのものができなくなるわけではありません。受付帳の特定項目に依存する方法から、候補不動産を条件で抽出し、所有者・登記情報を個別に確認しながら継続管理する方法へ切り替えることが重要です。
まとめ|受付帳改正後は「相続データを待つ」から「候補を持ち続ける」へ
2026年10月1日の受付帳様式変更により、受付帳から相続・売買等の登記目的や不動産所在事項を従来と同じ形で把握する方法は使いにくくなりました。
これからの相続営業では、営業エリアを決める → 不動産条件で候補を作る → 所有者・登記を確認する → 継続管理する → 適切なタイミングで接点を作るという仕組みが重要です。
不動産チェッカーは、この候補発見から所有者・登記確認、継続管理、営業リスト化までを一つの流れとして設計したい場合の選択肢です。
相続営業の仕組み、どこまで準備できていますか?
候補の探し方、継続確認、登記変化の確認、謄本取得、営業リスト化まで、自社の準備状況を診断できます。
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制度・営業上の注意
本記事は2026年10月1日時点の公開情報をもとに、相続不動産営業の一般的な業務設計を解説しています。個別の権利関係、相続手続、登記判断、営業上の適法性については、法務局・司法書士・弁護士等の専門家および自社の法務・個人情報保護方針をご確認ください。