空き家所有者調査は「住所確認→地番→登記→所有者」が基本

結論として、戸建て空き家の所有者を調べる基本は「所在地を確認 → 地番・家屋番号等を特定 → 登記情報を取得 → 登記上の所有者・住所を確認」です。
ただし、空き家では登記上の住所が古い、相続登記が未了、土地と建物の所有者が異なる、未登記建物があるなど、一般的な土地所有者調査だけでは判断しにくいケースがあります。本記事では、すでに見つけた戸建て空き家・低利用住宅の所有者を調べる方法と、空き家特有の確認ポイントに検索意図を限定します。所有者調査一般はcolumn-40、築古アパートを条件から探す方法はcolumn-62で扱い、本記事とは役割を分けます。
この記事でわかること
- 空き家の所有者を登記から調べる基本手順
- 住所と地番・家屋番号の違い
- 登記上の所有者と現在の連絡先が一致しないケース
- 営業利用するときの個人情報・アプローチ上の注意点
- 営業エリア全体から空き家候補を継続的に探す方法
空き家の所有者はどうやって調べる?
民間事業者が空き家の所有者を調べる場合、第一の確認先になるのが不動産登記情報です。国土交通省の所有者探索ガイドラインでも、一般的な所有者情報の調査方法として登記情報の確認が挙げられています。
登記情報では、所有権の登記名義人の氏名・住所等を確認できます。ただし、ここで分かるのは登記上の所有者です。現在の居住地や売却意向、空き家になった事情まで分かるものではありません。
空き家の所有者を調べる基本手順
STEP1 空き家の所在地・住所を確認する
まず調査対象となる戸建て空き家の所在地を特定します。現地、地図、社内で保有する物件情報などから、対象建物を取り違えないよう確認します。
STEP2 地番・家屋番号を特定する
登記事項証明書や登記情報を請求する場合、土地は地番、建物は家屋番号で対象を特定するのが基本です。住居表示の「○丁目○番○号」と登記上の地番・家屋番号は同じとは限りません。
地番・家屋番号は、公図、住宅地図、登記所への確認、オンライン登記情報検索サービス等を使って確認します。
STEP3 登記情報を取得する
地番・家屋番号が分かったら、法務局や登記情報提供サービス等で登記情報を確認します。所有者だけを確認したい場合と、抵当権等を含む権利関係まで確認したい場合では、必要な情報の範囲が異なります。
STEP4 登記上の所有者・住所を確認する
所有権に関する登記事項から、登記名義人の氏名・住所を確認します。共有名義の場合は複数の所有者が記録されている場合があります。
住所と地番は同じとは限らない
住居表示は日常生活で使う住所
郵便物や地図検索で使う住所は、住居表示が実施されている地域では「○丁目○番○号」のように表示されます。
地番は土地を登記上で特定する番号
土地の登記は地番で管理されます。そのため、住宅地図上の住所が分かっていても、登記情報を請求する前に地番を確認する工程が必要になる場合があります。
建物には家屋番号がある
建物の登記情報を請求する際には家屋番号で特定します。土地所有者と建物所有者が必ず同一とは限らないため、営業目的によって土地・建物のどちらを確認するか整理します。
地番については地番とは?調べ方と住所との違いも参考にしてください。
登記上の所有者が現在の所有者・連絡先と一致しないケース
空き家調査では、登記情報を取得して終わりにならないケースがあります。
相続登記が完了していない
登記名義人が亡くなっていて、相続人への名義変更が反映されていない場合があります。2024年4月から相続登記は義務化されていますが、過去に発生した相続を含め、実務上は登記名義人と現在の権利関係を追加確認する必要が生じる場合があります。
所有者の住所変更が反映されていない
登記簿に記載された住所から所有者が転居している場合があります。登記上の住所は「現在必ず連絡が取れる住所」を保証するものではありません。
共有名義になっている
相続等により複数名の共有になっている場合、売却・活用の意思決定には複数の権利者が関係する可能性があります。登記名義人の一人だけを見て判断しないことが重要です。
未登記建物等で建物登記から追えない場合
古い空き家等では、建物の登記情報だけでは十分な確認ができないケースもあります。民間事業者が取得できる情報には限界があるため、権利関係が不明確な場合は司法書士等の専門家への確認も検討します。
自治体の所有者探索と、民間の所有者調査は同じではありません
市町村は空家法に基づき、法の施行に必要な限度で固定資産税関係情報等を内部利用できる場合があります。一方、これらの非公開情報を民間事業者が自由に閲覧できるわけではありません。民間の営業調査では、登記等の利用可能な情報を前提に進めます。
空き家所有者へ営業するときの注意点
空き家=売却意向がある、ではない
居住者が見当たらない建物でも、相続整理中、長期不在、セカンドハウス、建替え予定など事情はさまざまです。外観だけで「放置空き家」「売却希望」と決めつけないようにします。
登記情報も個人情報として適切に扱う
登記簿等で公開されている氏名・住所も、個人に関する情報であれば個人情報に該当します。取得・保管・営業利用する場合は利用目的を特定し、自社のプライバシーポリシー等と整合させます。
近隣への聞き込みは慎重に行う
所有者探索の参考として聞き取りが使われることはありますが、営業目的で周囲へ個人情報を尋ね回ることはプライバシー・信用上の問題につながり得ます。必要性・方法を慎重に検討します。
1件の空き家なら手作業でも調べられる
すでに「この空き家の所有者を知りたい」と対象が決まっている場合は、地番・家屋番号を確認し、登記情報を取得する手作業でも対応できます。
1件単位の調査では、専用の候補抽出ツールを使わなくても、法務局・登記情報提供サービス等で必要な情報へたどり着けます。
問題になるのは、営業エリア全体で毎月新しい空き家候補を探す場合です。
空き家・低利用不動産を継続的に探したい場合
1件の所有者確認ではなく、営業エリアから候補そのものを探す場合は、地図・物件情報から対象を絞る方法があります。
営業エリア内の空き家を継続的に探す場合は?
目視・現地調査だけでは探索範囲に限界がある
現地調査は建物状態を把握するうえで重要ですが、数百棟を継続的に確認するには時間がかかります。
地図から候補を絞る
まず営業エリアを決め、地図上から戸建て・低利用不動産の候補を確認します。
土地・建物条件を組み合わせる
すべての空き家らしい建物を調べるのではなく、自社の仕入れ・活用条件に合う物件を先に絞ります。
候補物件だけ所有者確認へ進む
営業対象になり得る物件まで絞った後に登記情報を確認すると、不要な取得・転記作業を減らせます。

不動産チェッカーを使って仕入れ候補を探す
地図起点で候補を確認
不動産チェッカーでは、地図を起点に物件情報を確認しながら営業候補を探せます。
物件・所有者・登記情報を確認
候補となる物件について、所有者や登記情報を営業判断に使える形で確認します。
営業候補をExcel等へ整理
調査した候補はExcel出力、タグ、メモで整理し、継続的な仕入れ営業リストとして活用できます。


よくある質問
空き家の所有者は住所だけで調べられますか?
住所は対象建物を見つける入口になりますが、登記情報を請求する場合は土地の地番・建物の家屋番号等を確認する必要があります。
登記簿の住所に手紙を送れば必ず所有者へ届きますか?
必ず届くとは限りません。所有者が転居していたり、相続登記が未了だったりする場合があります。登記上の住所は現在の連絡先を保証するものではありません。
市役所で空き家所有者の連絡先を教えてもらえますか?
自治体は空家法に基づく行政目的で非公開情報を内部利用できる場合がありますが、固定資産税情報等を民間の営業目的で自由に開示してもらえるわけではありません。
空き家なら仕入れ営業をかけてもよいですか?
空き家であることだけで売却意向は判断できません。個人情報の取扱いや営業方法に配慮し、所有者の事情を決めつけずにアプローチする必要があります。
まとめ|1件を調べる方法と、空き家営業を仕組み化する方法は違う
- 対象となる空き家を特定する
- 地番・家屋番号を確認する
- 登記情報を取得する
- 登記上の所有者・住所を確認する
- 営業利用する場合は個人情報を適切に取り扱う
1件だけなら手作業でも対応できます。一方、営業エリアから継続的に仕入れ候補を探す場合は、候補を先に絞ってから所有者調査へ進む仕組みが重要です。
営業エリアから、空き家・低利用不動産の候補を探す。
不動産チェッカーで、地図から候補物件を確認し、所有者・登記情報の確認、営業リスト化まで一連の流れをご確認ください。