不動産営業 用途地域
公開日:2026/08/14 更新日:2026/08/14

住居系用途地域とは?8種類の建築制限と不動産営業での活用をわかりやすく解説

住居系用途地域8種類の違いを、建てられる建物、店舗・事務所の規模、絶対高さ制限、前面道路による容積率制限から整理し、土地活用・地主営業・担保調査でどう見るかまで実務目線で解説します。

住居系用途地域8種類の違いを住宅地と都市計画図で比較するイメージ
住居系用途地域は8種類あり、同じ住宅地でも建てられる建物と土地活用の自由度が大きく異なります

結論:住居系用途地域は、13種類ある用途地域のうち8種類を占める区分です。住宅を中心とした市街地を形成する点は共通していますが、第一種低層住居専用地域と準住居地域では、店舗・事務所・自動車関連施設などの建築可否が大きく異なります。

不動産営業や土地活用では、「住居系だから住宅向け」と一括りにせず、8種類のどれに該当するか、建ぺい率・容積率はいくつか、前面道路や上乗せ規制はどうなっているかまで確認することが出発点です。

この記事でわかること

  • 住居系用途地域8種類の違い
  • 各地域で建てられる店舗・事務所等の範囲
  • 第一種・第二種低層と田園住居地域の絶対高さ制限
  • 前面道路幅員による容積率制限の考え方
  • 用途地域ごとに向いている土地活用の傾向
  • 地主営業・用地仕入れ・担保調査での確認ポイント
  • 用途地域だけでは建築可否を判断できない理由

用途地域シリーズ

用途地域は13種類あり、住居系8種類・商業系2種類・工業系3種類に分かれます。全体像と各区分の違いをあわせて確認すると、建築制限や土地活用の判断がしやすくなります。

住居系用途地域とは

用途地域は、住居・商業・工業など市街地の大枠としての土地利用を定める制度で、全部で13種類あります。国土交通省は、このうち第一種低層住居専用地域から田園住居地域までの8種類を住居系の用途地域として位置付けています。

用途地域そのものは都市計画法に基づいて指定され、建築物の具体的な用途制限は建築基準法第48条・別表第2などで定められています。

「番号が大きいほど自由」とだけ覚えない

第一種低層→第二種低層→第一種中高層→第二種中高層→第一種住居→第二種住居→準住居と進むにつれて、概ね店舗・事務所等の用途は広がります。ただし、田園住居地域は農業と低層住宅の共存を目的とする別の性格を持つため、単純な序列には入れない方が正確です。

住居系用途地域8種類の違い一覧

用途地域絶対高さ制限店舗・事務所等の主な範囲営業上の特徴
第一種低層住居専用地域10mまたは12m単独店舗・事務所は原則不可。一定の兼用住宅は可戸建・低層共同住宅中心
第二種低層住居専用地域10mまたは12m150㎡以下・2階以下の一定の店舗等低層住宅+生活利便施設
第一種中高層住居専用地域絶対高さ制限なし※500㎡以下・2階以下の一定の店舗等。単独事務所は不可中高層住宅・医療・教育施設
第二種中高層住居専用地域絶対高さ制限なし※1,500㎡以下・2階以下の一定の店舗・事務所等住宅+小規模業務用途
第一種住居地域絶対高さ制限なし※店舗・事務所・ホテル等は3,000㎡以下住宅系の中でも活用幅が広い
第二種住居地域絶対高さ制限なし※店舗は10,000㎡以下。事務所・ホテル等も広く可。一定の遊戯施設も可住宅+商業・サービス用途
準住居地域絶対高さ制限なし※自動車関連施設、倉庫業倉庫、客席200㎡未満の劇場等も可幹線道路沿いの事業用途に強い
田園住居地域10mまたは12m低層住宅に加え、一定の農産物直売所・農家レストラン等農業と低層住宅の共存

※「絶対高さ制限なし」は高さに制限がないという意味ではありません。道路斜線、隣地斜線、北側斜線、高度地区、日影規制、地区計画等により建物高さが制限される場合があります。

なお、建ぺい率・容積率は用途地域名だけで全国一律に決まるものではありません。実際の指定値は、対象地の都市計画図や自治体の都市計画情報で確認してください。

住居系用途地域8種類を低層住宅から幹線道路沿いまで比較するイメージ
住居系8種類では、住宅環境を守る強さと、店舗・事務所等を許容する範囲が段階的に異なります

不動産営業で最初に確認する4ステップ

用途地域を確認しただけで「アパートが建つ」「店舗が建つ」と判断するのは早すぎます。営業実務では、次の順番で確認すると見落としを減らせます。

  1. 用途地域:8種類のどれか、建築用途の大枠を確認
  2. 建ぺい率・容積率:都市計画で指定された建築ボリュームを確認
  3. 前面道路・上乗せ規制:道路幅員、接道、高度地区、地区計画、日影等を確認
  4. 周辺需要:建築できる用途と、事業として成立する用途を分けて考える

不動産チェッカーでは、地図上で用途地域や土地情報と登記情報を確認しながら、土地活用や地主営業の候補を一次スクリーニングできます。不動産チェッカーの詳細はこちら

第一種低層住居専用地域

低層住宅の住環境を最も強く守る用途地域です。建築物の高さは原則10mまたは12mに制限されます。

建てられる主な建物原則建てられない主な建物
戸建住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿単独の店舗・事務所
一定の兼用住宅大学、病院、ホテル・旅館
幼稚園、小中学校、高校カラオケ、パチンコ等
診療所、保育所、図書館、老人ホーム等倉庫業倉庫、自動車修理工場等

営業での活用:戸建分譲、低層賃貸住宅、二世帯住宅、賃貸併用住宅など住宅系の提案が中心です。高さ・容積・北側斜線等を踏まえ、敷地面積の大きさだけで建築ボリュームを判断しないことが重要です。

計算例

仮に200㎡の土地に建ぺい率50%・容積率100%が指定されている場合、建築面積の上限は100㎡、容積対象となる延べ面積の上限は200㎡です。ただし、高さ・斜線・接道等により実際の計画はさらに制約を受けます。

第二種低層住居専用地域

低層住宅を中心としながら、第一種低層より生活利便施設の範囲を少し広げた地域です。150㎡以下・2階以下の一定の日用品店舗、飲食店、サービス店舗などが認められます。

営業での活用:住宅系提案が中心ですが、住宅地内の小規模な生活利便施設を含めた活用を検討できます。絶対高さ10mまたは12mは第一種低層と同じです。

第一種中高層住居専用地域

中高層住宅の良好な住環境を守る地域です。低層住居専用地域のような10m・12mの絶対高さ制限はありませんが、斜線制限、高度地区、日影規制等の確認が必要です。

病院・大学などに加え、500㎡以下・2階以下の一定の店舗等が認められます。一方、単独の事務所やホテル・旅館は原則建てられません。

営業での活用:賃貸マンション、分譲マンション、中高層賃貸住宅などの候補になります。指定容積率や前面道路の条件によって建築可能ボリュームが大きく変わるため、用途地域名だけで収支計画を作らないことが重要です。

第二種中高層住居専用地域

第一種中高層より利便施設の範囲が広く、1,500㎡以下・2階以下の一定の店舗や事務所が認められます。

住居系の中では、単独事務所が一定規模で認められ始める地域として実務上わかりやすい境目です。

営業での活用:中高層住宅に加え、店舗併設住宅や小規模オフィスを含む複合提案の余地があります。住宅需要と業務需要のどちらが強いエリアかを確認して提案を変えます。

低層住居専用地域と中高層住居専用地域で建築できる用途を比較するイメージ
低層から中高層へ移ると、建物高さだけでなく店舗・教育・医療・事務所などの許容範囲も変わります

第一種住居地域

住居環境を守りながら、一定規模の店舗・事務所・ホテル等を認める地域です。店舗・事務所・ホテル等は原則3,000㎡以下まで認められます。

一方、カラオケボックス、パチンコ店、劇場・映画館等は原則建てられません。また、自動車修理工場は作業場50㎡以下などの制限があります。

営業での活用:アパート・マンション、店舗併設住宅、小規模商業施設、事務所など選択肢が増えます。住宅系用途の中でも、土地活用の比較提案を作りやすい地域です。

計算例

仮に300㎡の土地に建ぺい率60%・容積率200%が指定されている場合、建築面積の上限は180㎡、容積対象となる延べ面積の上限は600㎡です。ただし、前面道路幅員が狭い場合は指定容積率より低くなることがあります。

第二種住居地域

第一種住居より用途の幅が広く、10,000㎡以下の店舗等や、カラオケボックス、麻雀屋・パチンコ店等の一定の遊戯施設も認められます。事務所は第一種住居より広い規模で建築可能です。

ただし、劇場・映画館等は第二種住居地域でも原則建てられません。

営業での活用:駅周辺や幹線道路沿いなどでは、住宅だけでなく店舗・サービス施設を含めた活用を検討できます。「住居系だから住宅だけ」という先入観を持たないことが重要です。

準住居地域

道路沿道の自動車関連施設などと住居環境の調和を図るための地域です。住居系の中でも事業用途の選択肢が広く、倉庫業倉庫、自動車修理工場(作業場150㎡以下)、客席部分200㎡未満の劇場・映画館等も認められます。

営業での活用:ロードサイド店舗、自動車関連施設、事業用地、サービス施設などを含めた土地活用を検討できます。幹線道路への接道・交通量・出入口条件など、住宅地とは異なる市場性の確認が重要です。

田園住居地域

田園住居地域は、農業と低層住宅が調和した良好な居住・営農環境を守るための住居系用途地域です。絶対高さは10mまたは12mで、基本的な建築制限は低層住宅系に近い一方、一定の農産物直売所や農家レストランなど、農業の利便増進に必要な用途が認められています。

また、田園住居地域内の農地では、土地の造成、建築物の建築、物件の堆積などについて、市町村長の許可が必要となる制度があります。農地転用については農地法上の手続も別途確認します。

営業での活用:農地所有者の相続・承継・管理・売却相談、農業関連施設を含む土地利用の検討などが中心です。一般の住宅地と同じ感覚で活用案を作らず、農地・都市計画双方の規制確認が必要です。

第一種住居・第二種住居・準住居・田園住居地域の土地活用の違いを比較するイメージ
第一種住居から準住居までは業務・商業用途が広がり、田園住居地域は農業共存型という別の性格を持ちます

前面道路による容積率制限も確認する

都市計画図に「容積率200%」と表示されていても、その200%を必ず使えるわけではありません。

前面道路の幅員が12m未満の場合、住居系用途地域では原則として前面道路幅員 × 0.4で算出した容積率と、都市計画で指定された容積率の小さい方が上限になります。特定行政庁が指定する区域では0.6が用いられる場合もあります。

例:指定容積率200%・前面道路4m

原則の0.4を用いる区域なら、4m × 0.4 = 1.6、つまり160%です。指定容積率200%より160%の方が小さいため、容積率の上限は160%になります。

地主営業や用地仕入れでは、「容積率200%だからこのボリュームが建つ」と即断せず、道路幅員まで確認してから収支を組み立てます。

住居系用途地域だけでは建築可否は判断できない

用途地域は建築制限の基本ですが、最終的な建築可否や事業性は用途地域だけでは判断できません。

  • 地区計画:用途、壁面後退、高さ、敷地面積等に上乗せ制限がある場合
  • 特別用途地区:用途地域の全国一律の制限を条例で強化・緩和している場合
  • 高度地区:自治体の都市計画で高さの最高限度等が設定される場合
  • 日影規制:建物の高さ・地域・自治体条例等により具体的な規制が変わる
  • 接道条件:建築基準法上の道路への接し方により再建築や計画が制約される
  • 防火・準防火地域:建物構造やコストに影響する
  • 条例・建築協定:ワンルーム、最低敷地面積、景観等の独自ルールがある場合
  • 周辺需要:法的に建てられても、賃貸・店舗・駐車場需要がなければ事業性は低い

実務では、都市計画図で一次確認し、必要に応じて自治体の都市計画課・建築指導課、建築士等へ最終確認します。

用途地域ごとに向いている土地活用の傾向

用途地域検討しやすい活用の例営業時の確認ポイント
第一種低層戸建、低層賃貸住宅、二世帯住宅絶対高さ、容積、北側斜線、周辺住宅需要
第二種低層低層住宅+小規模生活利便施設店舗用途・面積・階数
第一種中高層賃貸マンション、分譲住宅、医療・福祉系指定容積率、日影、高度地区
第二種中高層中高層住宅、店舗併設住宅、小規模オフィス住宅需要と業務需要の比較
第一種住居共同住宅、店舗・事務所併設、ホテル等容積・前面道路・収益性
第二種住居共同住宅、店舗、サービス施設、事務所商業需要、騒音・周辺環境との相性
準住居ロードサイド、自動車関連、倉庫、事業用地交通量、接道、出入口、事業用地流動性
田園住居低層住宅、農業関連施設農地規制、市町村許可、農地法

「建てられる」ことと「収益が出る」ことは別です。土地活用の見込み客を選ぶ際は、用途地域に加え、駅距離、周辺賃料、人口動態、道路条件などを組み合わせます。詳しくは土地活用は「土地を持っている」だけでは成立しないも参考にしてください。

不動産営業・地主営業・担保調査での活用

地主営業・土地活用

同じ広さの土地でも、第一種低層と第一種住居では提案可能な建物が大きく異なります。地主営業では「土地面積が広い」だけでなく、用途地域・建ぺい率・容積率・前面道路を見て営業仮説を作ります。地主候補の探し方は地主営業とは?で詳しく解説しています。

用地仕入れ

仕入価格を判断する前に、建築可能用途とボリュームを把握します。用途地域の境界にかかる敷地や地区計画がある土地は、Web地図だけで判断せず、自治体資料で確認します。

金融機関・担保調査

用途地域は、担保不動産の市場性・換価性を考える基礎資料になります。同じ面積でも、建築用途の自由度や需要の違いで市場性は変わります。担保評価の基本は担保評価とは?もあわせてご覧ください。

不動産チェッカーで用途地域と登記情報をまとめて確認

不動産チェッカーでは、地図を起点に土地・建物の情報を確認しながら、営業先の発見や提案先の整理に活用できます。

  • 地図上で対象地を確認する
  • 用途地域・土地面積などから活用余地を考える
  • 登記簿謄本から所有者・抵当権等を確認する
  • 地主営業、土地活用、担保調査の候補を絞り込む

用途地域の確認と所有者調査を別々の画面・資料で繰り返している場合、地図・不動産情報・登記情報を一つの流れで確認できる環境を整えることで、一次調査の時間を減らしやすくなります。

地図上で用途地域・土地面積・所有者・抵当権を確認して営業候補を絞り込むイメージ
用途地域と登記情報を組み合わせると、「建てられる可能性」と「誰へ提案するか」を同じ調査フローで考えられます

よくある質問

Q. 住居系用途地域では店舗は建てられませんか?

種類によります。第一種低層住居専用地域では単独店舗は原則建てられませんが、第二種低層では一定の小規模店舗、第一種中高層では500㎡以下の一定の店舗、第二種中高層では1,500㎡以下の一定の店舗など、用途地域が変わるにつれて認められる範囲が広がります。

Q. 住居系用途地域ならアパートはどこでも建てられますか?

共同住宅は住居系8種類すべてで建築可能ですが、実際に建てられる規模は建ぺい率・容積率・前面道路幅員・高さ制限・斜線制限・日影規制・地区計画・接道条件などで変わります。

Q. 第一種低層住居専用地域で3階建ては建てられますか?

3階建て自体が一律に禁止されているわけではありません。絶対高さ10mまたは12m、建ぺい率・容積率、斜線制限などの範囲に収まるかを個別に確認する必要があります。

Q. 事務所が建てられる住居系用途地域はどれですか?

単独の事務所が一定規模で認められ始めるのは第二種中高層住居専用地域です。同地域では1,500㎡以下・2階以下の事務所が認められ、第一種住居地域では3,000㎡以下、第二種住居地域・準住居地域ではさらに広い範囲で認められます。

Q. 用途地域だけで土地活用の可否は判断できますか?

できません。用途地域は重要な出発点ですが、建ぺい率・容積率、前面道路、接道、地区計画、高度地区、日影規制、防火規制、条例、周辺需要などを合わせて確認する必要があります。

Q. 田園住居地域とは何ですか?

農業と低層住宅が調和する環境を守るための住居系用途地域です。低層住宅に加え、一定の農産物直売所や農家レストラン等が認められる一方、田園住居地域内の農地では開発・建築等について市町村長の許可が必要となる場合があります。

まとめ

  • 住居系用途地域は8種類あり、建築できる用途の範囲が大きく異なる
  • 第一種・第二種低層と田園住居地域には10mまたは12mの絶対高さ制限がある
  • 第二種中高層から一定規模の単独事務所が認められる
  • 第一種住居では店舗・事務所等3,000㎡以下が一つの大きな境目になる
  • 第二種住居では一定の遊戯施設、準住居では自動車関連・倉庫・小規模劇場等まで用途が広がる
  • 建ぺい率・容積率は用途地域名だけでなく、その土地の都市計画指定を確認する
  • 前面道路幅員が12m未満なら、住居系では原則「道路幅員×0.4」による容積率制限も確認する
  • 地区計画・高度地区・日影・接道・防火・条例・需要まで見て最終判断する
  • 不動産営業では、用途地域を所有者情報・登記情報と組み合わせると提案仮説を作りやすい

参考・出典

ご注意ください

本記事は2026年8月14日時点の公表情報に基づく一般的な解説です。用途地域の指定値や上乗せ規制は地域ごとに異なります。具体的な建築可否、用途変更、土地活用については、対象自治体の都市計画課・建築指導課、建築士等へご確認ください。

用途地域から土地活用・地主営業の候補を絞り込みませんか?

地図、用途地域、土地面積、所有者、抵当権などを組み合わせ、建築・土地活用の提案余地がある不動産を効率的に確認できます。